【星幽塔】第八階層　ヒカリグモの糸～ドレス作るよ！｜リアクション

【星幽塔】第八階層　ヒカリグモの糸～ドレス作るよ！

☆ドレス作るよ！

　洋品店で店主にヒカリグモの糸を渡した一行は、工房で織り方の説明を受けた。
　縦糸はそのまま使うが、ねばねばの横糸も処理をして使い、それぞれ別な風合いの糸が出来るのだという。

「この服に合わせる黒いマントにしよう。クモの巣模様の刺繍入りだよ！」
　星の力を込めることで、小さな甘桃でもちゃんと織ることができる。
　隣ではペルラがローブを織っていた。
「私は今のローブも気に入っていますので、赤色と白色を基調とした感じにしましょう」　　

　グレイスは魔水の力を込めてショールを織っていた。
　涼やかな色合いで繊細で美しい花模様がついている。
「肌触りも良く、軽やかですね」
　満足のいくものができそうだ。
「ねばねばしない。よかった、うまくできそう……」
　夏朝は金色の布で軽やかなドレスを作っている。

（黒いドレスとか、きっと綺麗だろうな）
　星の力を使うとはいえ、裁縫が得意なレオンはやはり手際がいい。
（……着るのは自分だなんて、口が裂けても言えないけどな！）

（これで服を作ったらあいつら喜んでくれるかな）
　刀は親しい女の子二人の顔を思い浮かべていた。
　依頼主の店主に相談してみると、
「お任せください、格安にさせていただきます」　
　と請け負ってもらえた。　

　アリスはワンピースを織っていた。
「胸が窮屈じゃない開いたタイプがいいかな。フォルカは何を作るの？」
「え、あたしは……」
　フォルカは自分で作るつもりはなかったのだが。
「あ、できあがるまで秘密なの？　それじゃ着て見せ合いたいな」
「あ、ああ」
　皆が楽しそうに織っている姿を見て、フォルカは少し迷ったあと織機に向かった。
「俺も何か作ってみようかな？」
　その気のなかった亮も考えている。

「糸は反物に加工してもらいたい。デザインは本職じゃないからあとで仕立てて貰うよ」
　修も店主に相談を持ちかけていた。
「加工で出る糸クズはどうしてる？」
「？　糸クズは捨てていますが」
「ならばそれを譲ってくれ」
「ええ、構いませんよ」
（薬液で蛋白質をバラし、乾燥させて粉末にし光る粉にしたいのだ）
　商売人としての目の付け所に科学的な知識の裏づけが伴って、このアイディアに至った。
　皆が機織に夢中になっている間に、修はがっつり契約を結んだのである。

「似合う？」
　ワンピースをまとったアリスがくるりとまわって尋ねる。
「うん、すごく可愛いしセクシー」
　答えたフォルカは、動きやすそうなシャツを着ていた。
「フォルカも素敵！　すっごく似合うよ」
　アリスも笑顔で答える。

「……また、作ってみたいな」
　夏朝も金色のドレスの肌触りを確かめながら、満足そうにつぶやくのだった。

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