【星幽塔】第八階層　ヒカリグモの糸～ドレス作るよ！｜リアクション

【星幽塔】第八階層　ヒカリグモの糸～ドレス作るよ！

　もう一人の盗賊は、小さな甘桃に目をつけた。
（あいつをひっさらって人質にすりゃあ形勢逆転だ！）
　ナイフを取り出し甘桃に向かおうとする。
　が、体が思うように動かない。
「な、なんだ……？」
「……そうはさせない」
　大鎌に込めた呪術の光で、レオンが敵の動きを遅くしたのだ。
　さらに、杖を構えた甘桃がポーズを決める。
「甘桃の魔法うけてみよーっ！　のろいのろい（鈍い呪い）！」
　甘桃の呪術の光も加わり、岩がずしっと乗っているような重さが盗賊を襲った。
　甘桃は杖で盗賊の手をポコッと叩く。
　盗賊の手にしたナイフは地面に落ち、レオンが拾い上げた。
「これ以上クモさんいじめるなら、岩じゃなくてゾウさんが乗ってるぐらい重くするよ？　悪いことしちゃダメ、わかったらおうちに帰りなさい！」
　かわいらしい顔で甘桃は厳しい台詞を放つ。

「大丈夫か？」　
　修と夏朝も合流し、盗賊たちの武器等を没収する。
　ベルラの水球から開放された盗賊が逃げようとしているところに、亮が魔土の光を使った。
　盗賊の足を掴み転ばせて、そのまま雷神の腕輪で攻撃！
「ぎゃあ！」
　入り口に倒れこんだ盗賊の下の地面が崩れた。
　亮が先ほど魔土の光で作った落とし穴だった。
（息切れしないよう、ろっこんの発動は攻撃や防御時だけにしておこう）
　亮はそのまま、盗賊の首から下を地面に埋めてしまった。
　残った盗賊は、落とし穴を飛び越えて逃げだした。
「逃がさないよ！」
　アリスは飛びながら銃で足を狙う。
「くそっ」
　それでも武器を取り出そうとする盗賊に、さらに魔水の光で盗賊の足元を凍らせる！
「武器も凍らせて重くしちゃおう」
　カッチカチに凍った地面につるっと滑って、盗賊は木にゴツン！　頭をぶつけて目を回した。
　夏朝が多めに持ってきた縄で盗賊たちの両手を縛った。
「君達に相応しい糸はこれ。……後で首にかからないと良いね？」
「一人逃さず捕縛したな」
　刀は敵が残っていないことを確認する。
　　
「クモさん大丈夫だった？」
　甘桃が心配そうにヒカリグモたちに声をかける。
「ごめんな、怖かったろ？　もう大丈夫だからな」
　レオンもヒカリグモを撫でながら言う。
　ヒカリグモの首が、頷くように上から下に動いた。
「やっぱりわたし、まだちょっと怖いけど、もうちょっとだけ糸もらうね」
「アストラルバリアで守ったから大丈夫です。私も糸もらいますね、ありがとう」
　ペルラはそう言って糸を集めるのだった。
「窃盗団が来てないか、時々見回りに来るからね」
　アリスがヒカリグモたちに声をかけた。
「さあ、行くぞ」
　亮は地中から開放した盗賊の両手を魔土で覆って、拘束しながら護送していった。

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