【星幽塔】第一階層　マイ・フェイタル・シャドウ｜リアクション

【星幽塔】第一階層　マイ・フェイタル・シャドウ

　一方、北門では奇妙な光景が繰り広げられていた。
「ヒュー！　これ勝てるわ！？　絶対勝てわよね？？　よーし、みんな、すっぽんぽんになって踊るわよ！」
　葉っぱダンサーズリーダーのティオレ・ユリウェイス率いる援軍（全裸）が北門に到着。
　唐突な乱痴気騒ぎにフランチェスカは絶句するも、遅れてやってきた旅鴉月詠が事情を説明したことで事なきを得た。
「待たせたね。援軍の衛兵1000人と変態500名余り、そして城壁補修の資材が今到着だ」
「さらっと変態って言いましたよね、今！？」
「まぁ、基本、人畜無害だ。ちょうど賛美歌に合わせて裸踊りもしてくれてるし、賑やかだろう？」
「えぇ……！？」
　フランチェスカは耳と目をを疑うも、旅鴉は安定のクール運行。
　しゃーないんや。寝子島で変態が跳梁跋扈しすぎて、月詠さんは変態慣れしちまったんだ、きっと……！
「それと、風雲児に頼まれていた仕事も果たしてきた。ほら、ステラ？　風雲児が用意したビールがあるから、今日は宴会と洒落込もうじゃないか」

「わーい！　ビール♪　ビール♪　ビールなのー♪」
　出てくるや否や、ジョッキに口を付けて一気に呷る星幽塔の精霊。
「ぷはーっ！　とりあえず生は最高なのー！」
「よーし！　ステラを楽しませるため私は踊るわ！」
　讃美歌に合わせて、ティオレはしっとりと幻想的に踊り出す（全裸で）。
　ティオレに追随して、500人の市民も踊り狂う（全裸で）。
　それを見た酔っ払い精霊はお腹を抱えて笑い出す。
「ぷっははははは♪　おっかしいの～！！」
「あ、あのぅ、これ、もしかして……？」
　フランチェスカは開戦までの間、古代の書籍を読み漁り、ステラオルタの事を調べていた。
　その書籍の中で『ステラオルタの性質は、本体であるステラの状態に引っ張られる。陽なら陽へ、陰なら陰へ』と書かれていたのだ。
　旅鴉は頷く。
「ああ、その通りだ。とはいえ、今回は風雲児の方が数段上の理解力を示していてね？　彼は戦闘要員で探しに行けないという事から、私がステラ探しを協力する形になったわけだ」
「そ、そうだったのですね……」
　納得するフランチェスカだが、この塔の妖精が裸踊りでゲラゲラ笑いながら酔っぱらっている現実を目の当たりにしてしまい、色々と複雑な想いを胸に抱かざるを得ないのであった。

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