スイカ・ザ・マッスル！｜リアクション

スイカ・ザ・マッスル！

◆ビーチバレーしようぜ！

　サキリ・デイジーカッターは４時間前、確かに『男物の水着』を用意していたはずだった。
　だが、切り分けられた世界に突入した瞬間、サキリの身体と水着は女性のソレになっていた！
　赤いフレーム眼鏡の赤眼銀髪少女は、己が纏う黒ビキニ（割と豊満な乳）と黒パレオにしばし呆然とする。
　だが、暫くしてサキリは頷いた。
「スイカがマッチョになるくらいだ。寝子島ではチャメシインシデント……。神魂現象で性転換は何度も経験したので慣れている」
　寝子島の日常が、彼、いや彼女のフツウを変えた。
「むしろ、女体化して水着を着ていても、刃物がデフォでホルダーに装着されている事に僕は今、驚きを隠せない」
　太腿に装着されたナイフホルダーは、真夏のビーチには危険すぎる香りと妖艶さを放っていた。

　と、いうことで、サキリはビーチバレーの準備を整え、周りにいる者たちへ声を掛けた。
　もちろん、スイカ男たちもだ。
「ビーチで遊ぶといえばコレだよな！」
　持参したビーチボールをぽむぽむと叩く志波。
「ビーチバレー……！　素晴らしいです、武道さん、ぜひッ！　私とコンビを組んでくださいワンワン！」
　ハッハッハッと呼吸を荒くするアケーチに、志波は「どうどう！　どうどうどう！」となだめながらも快諾。
「よし！　俺とタッマーキさん対スイカ男二人とバトルだゼィ！」
　第一試合はアケーチ＆志波のチーム『ギリギリビキニライン』とスイカ男のマッスルコンビの対決だ。
　だが、その時、海の家の上から少女の声が響き渡る！
「ワッショイ！　そこのおふたり、審判は僕が務めよう」
　黒いビキニ水着のニンジャめいた少女は実際豊満だった。
　彼女は口元を黒い布地でメンポ代わりに覆うと、両手を合わせて深々と頭を下げた。
「ドーモ、サキリことブレードマニアです。女体化しているが気にしないでくれ」
「ああ、サキリさん……！　女体化しても神々しいッ、ふ、ふふ……！」
　いつの間にか海の家の屋根に登っていた心のご主人様の登場に、アケーチは思わず身悶えしてしまう。

「さすがは私とスイカたちの建てた海の家だ。サキリが乗っても大丈夫」
　旅鴉は焼きそばを焼きながらビーチバレーの様子を見守り中。
「さぁ、スイカたち。ビーチバレーの前に腹ごしらえを済ませておくことをお勧めしよう」
「「月詠ねえさん、アザッス！」」」
　すっかりスイカたちに慕われている旅鴉。
　焼きそば、ラーメン、焼きトウモロコシ、カレーと調理をこなしてゆく。
　材料はろっこんで保存できるのでスペースを取らずに便利だ。
「いやー、白熱してるねぇ」
　

　真境名アリサは大胆な水着を披露しつつ、海の家の隣でかき氷屋を始めていた。
「暑い夏には、やっぱりこれを食べなきゃ始まらないよね！」
　かき氷はスイカ男たちに好評で、いつしか真境名は浜辺のアイドルと化していた。
「アリサちゅわ～ん、メロン味おかわり！」
「こっちはイチゴ味、頼むぜェ！」
「はいはい、ちょっと待っててね！」
　真境名も汗だくになりながら氷を削っているが、非常に充実しているのが表情から窺える。