スイカ・ザ・マッスル！｜リアクション

スイカ・ザ・マッスル！

【常夏ビーチとマッスル】

　そして、約束の時間に至る。
「よし、行くぞォ！」
　静まった無人の青果店内では、むさくるしい緑色のマッチョマンたちが血気盛んに騒ぎ立てている。
　その正体は神魂で異形化したスイカたちだ。
　彼らが今まさに店の扉を蹴破ろうとしたその時、周囲の景色が一瞬にして南国のビーチへと変貌する！

「やれやれ、あとは任せたぜ、てめぇら」
　無事にテオのろっこんで現実世界の寝子島からスイカ男たちは切り離された。
　同時に、バカンスタイムの開始である！
「さて来たぜビーチ！　ってホントにスイカがマッスルだぁー！」
　志波が筋骨隆々のスイカたちに目を奪われている横で、アケーチが頬を赤らめながら熱視線をスイカたちに注いでいる。
「あれが噂のスイカ男さん……。マッソゥなお身体、そしてどこか青臭さ残る甘い香りに、タマちゃんトキメキが止まりません……！」
　はぁ、はぁ、と蠱惑的な吐息と共に身体を悶えさせるアケーチ。
　カンカン照りの太陽に当てられたから彼の言動がおかしくなったのではない。
　これがアケーチの通常通りの正常な変態的思考・発言である。
　そこへ志波が自身の存在意義を固持するかのごとく、高らかに宣言！
「でも俺だって負けてないんだからねっ！　神速脱ぎの異名は伊達じゃないぞっ☆」
　志波がシャツに手を掛けると、何故かズボンとシャツが同時に脱げ落ち、水泳で鍛えられた筋肉と鉄壁のブーメランパンツが白い砂浜を彩る！
「ああ、武道さんの無駄のない脱ぎ技の動き、そして輝く鍛えられた肉・体・美！　ナイスブラックブーメラン！　私、メロメロです…ッ！」
「やっぱり黒のブーメラン水着だよね！　タッマーキさんはどんな水着カナー？」
「それでは私も……ハァぁンッ！」
「なに！？　俺ほどではないが、タッマーキさんもなかなかの脱ぎのスピード！　こいつ、できる！！」
　刮目した志波は、すぐに水着を確認すべくアケーチの下腹部を凝視する。

　お分かりいただけただろうか？
　アケーチの股間は肌色だった。
「タッマーキさんはいてないじゃないですかぁアウトー！」
「安心してください、はいてますよ！」
　アケーチの指が水着の生地を摘まむ。
　確かに、生地らしきものを視認できる。
「いや、まさか……！」
「そのまさか、です、武道さん。これはシースルー寄りのモザイク柄ですよ、ふふ……！」
「……モザイク柄、だと……っ！」
　その時、志波に電流が走る。
　更にアケーチが股間を太陽に晒せば、ちょっとえっちで絶妙な輝きを股間に纏わせてみせた。
「しかも生地が夏の日差しを反射させるので、深夜アニメのえっちなシーンに出てくる白い光を再現できます、ふふ、ふふふ……！」
「再現度たけーな！！　さすがタッマーキさん！」
「武道さんこそ本当に素晴らしい……！　今日はたくさん満喫しましょう……！」
　互いに握手を固く交わすと、近くにいたスイカ男たちに声を掛ける２人。
　すぐに２人とスイカ男たちは意気投合。
　今ここに、筋肉での友情が芽生えた瞬間であった。

このページにイラストを設定する