スイカ・ザ・マッスル！｜リアクション

スイカ・ザ・マッスル！

　第３試合は、夕鈴翼と、先程漂流した（！）八神修の即席コンビ。
「まさか、延々と泳ぐとは思わなかったな……」
　実はずっとスイカ男たちの遠泳に付き合っていた八神。
　力尽きて、波の上でクラゲめいて漂っていたところを、偶然ビーチバレー会場に漂着したわけである。
　ぐったりしている八神に、夕鈴が無邪気に励ましたのがコンビ結成のきっかけ。
　その時のやり取りがコチラ。
「大丈夫です、漂流お兄さん？　おっぱいを揉むと元気が出るそうですよ、ひとつどうですか？？」
「確かにそういう文化もあるが、俺は遠慮しておこう」

　ともあれ、試合開始。
「必殺！　ウォーターメロンディバイド！」
　高くジャンプをしつつ上半身を限界まで反らし放つ、ただのアタックである。
　だがひとつ違うのは、その童女に似つかわしい豊満な肉体が、躍動するたびにブルンブルンと震えるのだ。
「こ、これは！？　なんだ、俺の下腹部が熱いぞ！？」
「俺もだ、相棒！　この肉体を持ったせいなのか！？」
　スイカ男たちは初めての感覚に戸惑うばかり。
　そこへ八神が問い掛ける。
「人間の女性の身体が気になるのか？　仮初めとはいえ、その肉体を手に入れたが故の性の目覚めなのか？」
「教えてくれ、そこの少年よ！　この感情は、一体なんだ？？」
「この内側から突き上げる熱量の正体を知っているなら教えてくれ！」
　困惑するスイカ男たちの問いに、八神は真顔で答えた。

「パイオツカイデーヒャッホイだ」

「「パイオツカイデーヒャッホイ、だと……！？」」
　スイカ男たちの心に電流が走る！
　すかさず八神は解説を始めた。
「そもそも、スイカ男以外にもスイカ女が居るかと思ったが、そうでもないらしいな。となると、自然と君たちの性の欲求は他の生物のメスへ向けられる。現に君たちは、既に人間の女性に興味津々のようだからな？」
「その気持ちが、パイオツカイデーヒャッホイなのか、少年よ？」
「そうだ。神魂が宿らなければ、決して認識することがなかった『感情』だ。おめでとう、君たちに祝福があらんことを……」
　八神が慈愛に満ちた笑顔を向ければ、スイカ男の２人がコート中央に駆け寄り、そこに八神も加わる。
　３人は肩を組んで友情を分かち合った。歓びの言葉を口にしながら。
「「パイオツカイデーヒャッホイ！！　パイオツカイデーヒャッホイ！！」」
「あのー、試合はどうなったのでしょう？」
　ひとりだけ状況とパイオツカイデーヒャッホイの意味が汲み取れない無邪気な夕鈴、男の友情の意味を知るのは、もう少し思春期を経験してからになるのだろう。
　ちなみに、試合はパイオツカイデーヒャッホイパワーが漲るスイカ男たちの圧勝であった。