【星幽塔】第六階層　雲氷を探して｜リアクション

【星幽塔】第六階層　雲氷を探して

☆現れた巨鳥とフワフワエナガ

　アリスはフワフワエナガを探して飛んでいた。
「もこもこの鳥、どこかな？　でもあんまり驚かせると逃げちゃいそうだから気を付けよう」
　枝の上を見つつ飛んでいると、ふわふわ浮かぶ茶色いキノコがあった。
「あ、ドロフ見っけ」
　見つけたドロフをつまみ、鞄に入れる。
「これは酒のつまみに使えそう！　これでメニューが増えるよ！」
　だが、そこへ巨大な羽音がした。
　広がる七色の羽。
「ニジイロコンドル？！」
　アリスは一目散に逃げ出した。
「速さには自信があるし」
　しかし、コンドルは追いかけてきた。すごいスピードで、追いつかれそうになる。
　銃は持っているけれど、使いたくはなかった。
　アリスはドロフを取り出して、遠くへ投げる。
「一個だけだよ。あとは持ち帰るんだからっ」
　思ったとおり、ニジイロコンドルはそちらへ向かって飛んで行き、アリスを追いかけてはこなかった。

　時子がヨタカを追っていくと、前方にハイタカと人の姿があった。
『こんにちは。フワフワエナガさんがどこにいるか知りませんか』
　時子はシキさんに声をかける。
『知らない。雲氷ならこっちのほうだと思うけど』
　ぶっきらぼうに聞こえるシキの言葉に、時子は丁寧にお礼を言った。
『そうでしたか。ありがとうございます。行き先は同じみたいですね』
「シキさん、こっちに雲氷があるの？」
　鳥たちの話はわからないまま追いかける望春のそばに、ふわふわと落ちてきたものがあった。
「キノコ？　これ、もしかしてドロフかな」
　拾っておこう、とつまみあげる。　
　その時望春の頭上に、大きな影が落ちた。
「えっ？」　
　見上げると、虹色の羽を広げた巨鳥がこちらへ突っ込んでくる！
「わあっ！」
『ニジイロコンドルさんですか。ドロフはいかがですか』
　時子は足に抱えていたドロフを離した。
『……』
　ニジイロコンドルは無言でドロフを食べてしまったが、望春の手のドロフを気にしているようだ。
「仕方ない」
　望春はさっき拾ったドロフを、思い切り遠くへ投げた。
　ニジイロコンドルはそちらを追いかけて飛んで行ってくれた。
「ふう……」
　
「うわっ！？」
　大きな体を七色の羽で彩ったコンドルが、ルークを襲った。
　剣を抜こうとするルークだが。
「危ない！」
　亮がドロフを投げるほうが早かった。
　ニジイロコンドルはそちらへ首を向けた刹那。
「食らえ！」
　その隙を狙い、亮が雷神の腕輪による電撃を浴びせる。
　ビリビリ！
　次にすかさず剛糸輪で盾を作り、敵の攻撃から身を守る。
　だがコンドルは電撃にひるんだか、ドロフを咥えて逃げていった。
「ルーク、無事か？」
「ありがとう、助かった」　
　ほっとしていると、なにやらもこもこした鳥がこちらへやってきた。
「フワフワエナガか？　雲氷を一緒に探してくれないか」
「チイ？」　
　首を傾げるフワフワエナガに、亮は説得を試みる。
「シロップあるから違った味を楽しめるぞ」
「チチチイ！」
　言葉が通じたのだろうか、フワフワエナガは亮たちの前に出て飛び始めた。
「追いかけるぞ！」