【星幽塔】第六階層　雲氷を探して｜リアクション

【星幽塔】第六階層　雲氷を探して

☆出発準備

「うわー、高い山ですね！」
　金髪のポニーテールを後ろに倒して、リリエル・エーテライトは雲氷があるという高い山を見上げた。
「おわー、すっご！　登り甲斐がありそうなお山だねー！」
　メリィ・ランページも、虎の耳をぴこぴこしながら、ひっくりかえりそうに体をそらして山の上を見つめる。
「メリィちゃん、雲氷探しがんばりましょう♪」
「うん！　雲氷探しがんばろー！！　えいえいおー！」
　と言いつつ探し物は苦手なメリィ、視線をリリエルに向けた。
　リリエルはいつもと違い、伊達めがねをかけている。
「今日の私は探し物名人ですから、美味しい雲氷探しは任せてください」
　えっへん、というように胸を張るリリエルを、メリィは目をきらきらさせて見つめた。
「おー！！　すっごーい！　そんけー！！」
「その代わりニジイロコンドルが襲ってきたらメリィちゃんお願いしますね！」　
「退治ならあたし任せてー！鳥にだって負けないんだから！」

「食べる宝石。そこまで言われると気になっちゃうよなあ」
（鳥を探せばいいらしいけど、シキさんでも見つけられるかも？）
　お菓子好きな花厳望春は、飴をなめてろっこんを発動した。
　羽ばたきと共に雌の鷹のシキさんが現れる。
「雲氷ってものを探しているんだけど、協力してくれますか？」　
　力関係はシキさんのほうが上で、礼儀正しく接しないと従ってくれない。
　姉が三人いる末っ子の望春としては、いつものことであったが。
　シキさんはいつもの通り黙って鋭い目を望春に向けていたが、羽を羽ばたかせ飛び立った。
「快く引き受けてくれた……ようには全然見えないけど」
　ひとまず彼女が飛んでいくほうについていく望春だった。

「夏の珍味、食べる宝石！　凄いな～、ぜひ食べてみたい」
　食いしん坊万歳な御剣刀は、雲氷の魅力に惹かれていた。
「特に必要ないと思うんだけど、馴染んでいるので剣士の光で行くか」
　危険があるわけでもないだろうと思う刀だが、愛用の日本刀は手放さない。
「出かける前にお弁当や飲み物はいかがですか～」
　商人の声に、刀は財布を取り出すが。
「あ、星幽塔じゃお金が違うのか……」
　何を交換しようか悩んでいる刀に。
「よかったら両替するですよ？」
　椿美咲紀が声をかけてきた。
「サンキュー、助かる」
「どういたしまして。こちらで『ねこよろず』ってお店をやってるのでお金は持ち歩くようにしてるのです。カードが使えないから不便なのです」
　美咲紀が話していると、羽音がして鷹が飛んできた。そのまま近くの枝に止まる。
　追いかけてきた望春が声をかけてきた。
「こんにちは。椿さんも雲氷を探しに？」
「花厳さん。こんにちはなのです。雲氷も食べたいですし、ドロフも欲しいのです！」
「ああ、ニジイロコンドルが好きなキノコだっけ？」
　美咲紀はポニーテールを振りながら生き生きと語る。
「猛禽類に好まれるキノコという事は、ドロフはお肉味に違いない。これは確かに珍味です！　是非私達のお店『ねこよろず』取扱商品に加えたいです。多めにとって持ち帰りたいのですよー！」
「ドロフか。怪鳥に襲われたらどうしようと思ってたんだ。できるだけ傷つけないようにして追い払いたいから、シキさん、同じ鳥同士仲良くできないかな」
　シキのほうを見るが、相変わらず鋭い目つきだ。
「シキさんの場合喧嘩売りそうな気もするけど……」
「ドロフを幾つか遠くに放り投げれば回避できるのですよ」
　

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