【星幽塔】第六階層　雲氷を探して｜リアクション

【星幽塔】第六階層　雲氷を探して

☆ドロフをゲット

　刀はのんびりとピクニック気分で山道を登っていく。
「この景色良いな。写真も撮ろうかな～」
　と思ったが、あいにく科学の発達が中世レベルの星幽塔には携帯電話やカメラは持ち込めず。
　心のアルバムに焼き付けておくことにした。

　早く雲氷を食べたい者たちは、飛行船に乗って山頂へ向かう。
　切り立った岩肌に雪が見えるようになってきた頃、ふと崖の傍の樹を見ると、上に見慣れないものが浮いていた。
「あれがドロフです」　
　商人の言葉に、美咲紀は手に持った愛用の先端が白い翼を広げた杖に星の光を込める。
「魔風を使って、ドロフを収穫するのです」
　魔風の光が深緑色の観葉系蔓性植物のような形状で巻きつき、杖の装飾として一体化した。
　風が吹き、ふよふよとドロフはこちらに漂ってきた。
　修は、弓を取り出しタコ糸をつけた矢をつがえた。
　風で取り切れなかったドロフを狙う。
　ひゅん。
　矢が当たったドロフを無事ゲットした。
「くんくん。……やっぱり肉っぽい香りなのです」
　美咲紀は大きな袋にポイポイとドロフを詰めて、しっかり口を閉じて香りを逃がさない。
「どんな木の上に浮いてるのかもメモしてですね。……遠くてよくわからないですが。また後日、仕入れする時の手がかりを残さなきゃ」
　樹の形をスケッチする美咲紀。
「崖の近くなのも関係あるのかな」
　修は考える。

　飛行船は高山の頂上に着き、一行を下ろした。
「ありがとう。帰りの回収もよろしく頼む」
　修は商人に頼むのを忘れなかった。
「さて、白いもこもこの鳥が雲氷のありかを知っているのね」
　桜はまずは鳥を探すことにする。
「とても人懐っこいって言うけど……」
　とりあえず周囲には見当たらない。

「もこもこの白い鳥さんを探しましょう」
　時子は、ろっこん『鳥の囀り』を使い、肩で瘤のように動かないヨタカさんに話しかける。
『ヨタカさん、ふわふわエナガさんのいる場所は分かりますか？』
『雲氷の場所ならなんとなく分かるよ』
『雲氷も気になりますがふわふわエナガさんの方が気になります』
『それじゃまあ、一緒に探してやろう』　
『はい、ちょっと待ってください』
　時子はさらにろっこんの進化能力を使い、もふもふしたシマエナガに変身する。
　ヨタカさんについて行く形で飛んでいくことにした。
『ふわふわエナガさん、どこですかー？』　
　探す途中、時子はふわふわ浮かぶドロワを見つけた。
『持っていきましょう』
　そう言うと鳥になっている時子はそれを足で捕まえた。
　そして、嘴でつついてみた。
『このキノコも食べられるみたい？』
　一口食べてみて美味しさにうっとりしながら、時子はヨタカについていった。

「何か浮かんでるな」
「あれがニジイロコンドルの好物のドロフだよ」
　ルークの答えに、亮は大毒蛾の生糸で作った剛糸輪を取り出した。
　宙に浮かぶドロフに向けて投げ、回収する。
「すごいな亮！」
　見ていたルークは大喜びで歓声をあげた。
　だがその大声に反応し、遠くから飛んでくるキラキラしたものがあった。

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