今年の水着を買いに行こう｜リアクション

今年の水着を買いに行こう

　第１話

　あと何日かで７月になる、寝子島でも海開き間近なある日、落合まゆらは寝子島シーサイドアウトレットに今年の水着を買いに来ていた。
（新しい友達と海に行く約束をしているから買いに来たけど……何を買ったらいいのかな）
　専門学校に通いだして数か月、友達と過ごす初めての夏に、大きな期待と少しの緊張を抱きながら、まゆらは水着売場に入った。
（すごい種類があるわね……！）
　色とりどりの水着がそれこそよりどりみどりで揃っていて、それだけでますます迷ってしまう。
「ビキニとワンピース、どっちがいいかな」
　友達には、まゆらだったら両方いけるよ！　と言われたし、どっちも着てみたいという気持ちがある。ビキニと違ってワンピースはメリハリが出やすく、意外に着こなしが難しい。両方いけると言われたのは照れくさくもあったけれど素直に嬉しかった。とはいえ、あんまり高いのは買えないし、何着も買えるわけではない。
（可愛らしいタンキニがあるわね、これにしようかな……）
　パステルカラーで、爽やかな雰囲気の水着だ。
（でも、こっちのビタミンカラーのビキニも捨てがたいし）
　夏らしく、太陽の下で着るにはぴったりの色だ。その隣には、ちょっと大人っぽいエスニック柄のビキニもある。
（こういうのも意外にアリかも……）
　ハンガーごと手に取っては鏡に合わせてチェックする。どれも捨てがたく、１着を選ぶと他が名残惜しくなり、なかなか決められない。そのうちに、新しいひらめきもやってくる。
「今年は少しばかり大人っぽく攻めてみるのも悪くないかも……？」
　それから、ハイレグワンピースやモノキニを選んでみて、それを着た時の様子を思い浮かべてみる。
「…………」
　すごく色っぽくなってる自分の姿に、まゆらは思わず赤面した。
（試着しちゃったら買わなきゃいけなくなるわよね……）
　商品を戻すのはマナー違反だと思ったまゆらは、真剣に吟味した結果、パステルカラーのタンキニとビタミンカラーのビキニ、黒のハイレグワンピースを選んだ。
　試着したら似合っていて、思い切って買った（実際の試着室には試着用のインナーが用意されていて、合わなければ戻しても問題なさそうだった）。
「ありがとうございましたー！」
　店員の笑顔を背に、まゆらは店を出る。
（今年は攻めちゃったなー）
　ドキドキしながらも、これらを着て海やプールに行くのが楽しみだった。

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