今年の水着を買いに行こう｜リアクション

今年の水着を買いに行こう

　第２話

　青山絢は、１人でアウトレットの水着売場を訪れていた。
「どれにしたらいいのかな……けっこう迷うよね」
　豊富な水着の前でひとりごちる。それは、周囲の客の話し声と一緒に紛れて消えていく。
　１人で来ることになったのは、ステッラ・デッラ・コリーナでコンシェルジュをしている従姉が仕事だったからだ。だが、絢は残念というより、ある意味安心していた。従姉はいい人ではあるのだけれど、写真を撮るのが好きだ。水着売場で試着とかしたら絶対に撮影したがるだろう。
「今年の初水着をＧＥＴしませんか？　これからの一夏を楽しみましょう！」
　――店員が、店の前で呼び込みをしている。それを聞いて、絢は思う。
（今年の初水着は終わってるのよね）
　でも、新作の水着を選ぶというのは悪くない。
　とりあえず、最初は好みがどうとかは置いておいて、いくつかの水着を手に取ってみる。
「この露出度の高い、やたら攻めてるようなのはパスかな……」
　何というか、自分にはそれを着るだけの度胸はない。
（と言って、あんまり子供っぽいのもなんだかな……）
　などと思いながら、適当に水着を手にして値段を見てはやれやれと言った感じて元の場所へ戻す。水着を買うのは、普通の服を買う時より時間がかかる。
　そんなことを繰り返しているうちに、綺麗なミントグリーンのビキニと、色を合わせた薄いパレオを身に纏ったマネキンが目に入った。
（これ綺麗だな……）
　マネキンの側に用意されている同じ水着を手に取って、試着してみる。