【プール開き】ドキッ☆水着だらけのうふふのふ♪｜リアクション

【プール開き】ドキッ☆水着だらけのうふふのふ♪

　響タルトはご機嫌だ。
「去年はろっこんで猫になっちゃうから水着で泳げなかったけど、今年は獣人化するから大丈夫♪」

「新しい水着も買ったし、泳ぐぞ～☆」

　しかし、うきうきと訪れた寝子島プールは、カオスとなっていた。

「良いぞ良いぞ、ならば我が真の美も見せねばなるまい！」
　ルーシーは、三点を隠す葉っぱ水着に手をかけた。
　そのまま葉っぱをきゅっと握り、水着を肌にかろうじてつなぎとめている、緑の蔦を引きちぎる！

「うわ、ルーシーさんまた露出してる……相変わらずいいカラダしてるね」

「先生、だ、大丈夫ですかっ！」
「あ、御剣君」
　刀は、島岡先生の手首をぎゅっと握った。
「とりあえず、ここから避難しましょう」

「って、ムッツルギ刀君が、ムッツルギしてない！　戦ってる！　っていうかなんでプールに、タコやらコンブやらサメがいるわけ？」

　これはもはや、プールではなく海ではないのか。
　いやいや、海にしたって無法地帯、危険にも程があるだろう。
　きっとすべては神魂の影響だろうと結論付けて、タルトはそのプールへと一歩足を踏み出した。
　そう、踏み出したのだ。
「だって面白そうだもん！」
　ふふふと笑って、水の中にちゃぽん！
　猫耳と猫尻尾をゆらゆら揺らして、周囲の人を観察しようと、したところで。
「響さん、水着を着ていると、危ないわよ？」
　黒髪をじっとり濡らし、ぷっくら赤い唇で微笑みながら、鷲尾礼美先生が、近付いてきた。
「ほら、あのサメ……見て分かるように、水着を着ていると襲ってくるのよ。だから、あなたも脱がないと」
　ほとんど脱げかけ、白いビキニを見にまとった先生は、タルトの肩にそうっと触れてきた。
「ええ？　せっかくお気に入りのを買ったばかりなのに～」
　タルトは言いながら、先生の手から逃れるように、距離をとる。
（いよいよとなれば、猫化して逃げれば平気だよね）
「ああん、響さんったらぁ。行っちゃうのぉ？」
　鷲尾先生の甘い声を聞きながら、タルトはすいすいと水の中を泳いでいった。
　そして見かけたのは、美少女二人の姿である。

　冬華のむにりと柔らかな太腿に、まろやかなヒップに、そして細いウエストに、ゼンラー・オクトパスの足が、絡みついていた。
　うにん！　と伸ばされた足の一本は、冬華の胸を、とんとんとタップする。
「あっ、そんなところ、ツンツンしたらっ……！　やああん、だめ、だめですっ！」
「冬華！」
　月がプールに飛び込み、冬華の体に手を伸ばす。
　が、そこにはぬるぬるゼンラー・コンブが集まっていた。
　月は、こぶしを突きだし、足を蹴り上げ、コンブを撃退しようとする。が、その手足をそのまま絡みとられてしまう――。
「月さんっ……」
「冬、華……！」

「あああ、ＧＬ美味しい！」
　タルトは二人のやりとりに、ほうっと息を吐いた。
　興奮に、尻尾がぴしゃぴしゃと水を打つ。
　そこに。
「んん？」
　ぬろおり、オクトパスの足が、絡みついた。
「タコぉ！？」
　吸盤は尻尾には張り付かないが、無遠慮にも、タルトの美尻尾毛並みを逆立ててくる。正直気分はあまりよくない。
　しかもタコの足は遠慮なく、タルトの人間部分、すなわち健康的に伸びた足や、くいっとくびれたウエストにも、伸びてくるではないか。
「やっ、ちょ、もう、邪魔だよ～」
　げしげしと蹴ろうとしたけれど、その足すらタコに、囚われる。
「これじゃ、みんなの見物ができなくなっちゃうよ！」
　タルトはいよいよ、ろっこんの力を使って、本物の猫に姿を変えた。
　可愛い水着姿で居られなくなっちゃうのは厄介だけれど、これでタコは、去ってくれるだろう。
（だってこのタコ、水着を吸いとるみたいだもんね。猫にあるのは、ふわふわの毛だけだもーん☆）
　去年までは、猫化しちゃってプールに入れないのが残念なんて、思っていたけれど。
　今年は逆に、この能力がラッキーだ。
（さあって、他の子もしっかり観察しなくっちゃ）