『らっ！』を探しだせ！！｜リアクション

『らっ！』を探しだせ！！

　沢山の『ら』の付くアイテム（主に食べ物）をゲットし、ご満悦な御剣刀。
　買い物袋は相当な物量となっているが、当の刀は涼しい表情。
「あー、落花生もいいよな。茹で落花生はクセになる。美味しい」
　マーケットにて購入した落花生を早速もりもりつまみ食い……ではなく、試食する刀。
　それと入れ替わるように、一人の小柄な人物がマーケットへと入っていった。
（……ん？）
　違和感。とてつもない違和感に刀は思わず振り返った。
　しかし視線の先からはその違和感の正体は消えてしまっており。
（まぁ、いっか）
　気を取り直して、刀は更に目的の場所へと向かう。

　その頃、店内では。
「袋は結構。マイバッグがあるので」
　背中に背負った鞄を下ろし、購入したものを手際よく詰めて行く旅鴉月詠の姿。
　店員達はややザワつきながらも見守ることしかできなかったという。

　刀が向かった先。それは一件のラーメン屋。
　威勢の良い『いらっしゃい！』の声を聞きながら席につき、メニューを広げる。
「ラーメン一つ」
　注文が通れば、直ぐに調理に取り掛かられていくのを横目で見ながら、刀は更にメニューに目を通す。
（……どれも美味しそうだな）
　ラーメン以外にラから始まるメニューはないものか。
（ラーメン定食という手も……！？）
　刀がそうこう考えている内に、おまちどうさま！と勢いよく置かれるラーメン丼。湯気が立ち、食欲をそそる香りが刀の鼻腔をくすぐり。
「いただきます」
　手を合わせ、勝負に挑むかのような真剣さでラーメンに箸を入れる。
　程よい固さの中華麺がその縮れ具合がスープに絡み、麺本来の味とスープの味が合わさる絶妙なハーモニィを紡ぎ出す。
（美味い……）
　夢中で面を啜る刀。チャーシューによる肉っけ、柔らかな歯ごたえと見た目も愛らしいナルト。
　街の中華屋、恐るべし。
　刀はそう思いながら、店主へと顔を向けた。
「この特盛チャーハンと、あと焼き餃子も一皿お願いします」
　もはや、『ら』は関係ない。
　そんな中、店の扉がガラガラと開けば、
「ただいまアルー」
　顔を出したのは、ここ猫島軒の看板娘・畑中華菜子の明るい声が響いた。
「おや、御剣さん」
　華菜子と共に入店してきた薄野五月が刀へと声をかける。
　更に久保田美和もやってくれば刀の姿に笑みを見せる。
「ラーメンを食べてるのですね」
「あぁ。餃子と特盛チャーハンも頼んだが」
「凄い食べっぷりアルネ、毎度あり、アルヨー」
　華菜子は言いながら、ササッとエプロンを身につけ厨房へ。
「それじゃあ、公園に持っていくラーメンを作るアルー！」
　華菜子は腕まくりし、準備を始めるのだった。