『らっ！』を探しだせ！！｜リアクション

『らっ！』を探しだせ！！

　公園には、続々と『ら』が集結していた。
「皆さん……凄いです、感激ですっ！」
　白猫・ミラが瞳を輝かせている。
　碧南がパン屋でテイクアウトしたライ麦パンを始め、時子は尚輝と共にラグビーボールやテニスラケット。和菓子屋で購入した落雁や、花屋で購入した蘭、ラッパ水仙、ラベンダー。
「凄い沢山ね……！」
　碧南が驚きの声を上げれば、時子は
「結構集まるものですね。あっという間でした……」
　その言葉に尚輝も頷く。
「考えるものは同じだったりもするけれど、数が多ければ多い程良いと言っていたし」
　修とあおいは『ら』な雑貨を始め、手作りラスクを持ち寄っていた。
　更に
「こんなものも用意したんだよな」
　修が皆に見せたのは、某ホームページサイトをプリントアウトしたもの。
　察しの良い皆様ならわかりますよね、ビバ６周年。
　夏朝は修のプリントをマジマジと見て、感心したように頷いた。
「意外な『ら』があるんだね。あとは僕の『ライフ』もあるから、きっと大丈夫」
　やや背を逸らし、己の胸を叩く夏朝。
　猫さん柄のランチバッグは悪戯されず、そのままミラの隣にありましたのでご安心あれ。
「結構な人だな」
　更にやってきたのは、刀。沢山の『ら』が付いたアイテムが詰まったバッグを背負っているも、その表情は爽やかで。
「結構集まってるみたいだが……俺も持って来た」
　刀が集めたライチやラズベリー、そしてラムネや落雁、らっきょう。ほぼほぼ食べ物である。
「味も抜群だから安心してほしい」
　全て刀さんが事前試食済みです。更に刀の後ろには華菜子と五月、そして美和がぬいぐるみや岡持ちを携え。
「さぁ、みっちゃん先生、公園でラーメンを食べるアルヨー！」
　華菜子が岡持ちの蓋をずらせば、そこにはホカホカのラーメンたち……！
「公園でラーメンなんて新鮮ねー！」
　美和がラーメンを受け取り、そして眼鏡が幸せなラーメン湯気で曇る。
「皆さんの分もありますので、良かったら一緒に食べましょう。ふっふ」
　五月がラーメンを配れば、五月の眼鏡もまた眼鏡がラーメン湯気で曇るのだった。

　……ここでしばしの、ラーメンタイム。
「ミラは猫だけど、ラーメン食べられるのか」
「猫舌ですので、ちょっと……」
「そっちか」
　舌鼓を打っていると、勢いよくママチャリが公園に駆け付けた。
　キキッとブレーキをかけ、律儀に駐輪場へと自転車を置き。
　皆の元に寄ると、彼女は言った。
「待たせたな！」
　ババーーン！と効果音がつきそうな決めポーズである、が。
（どういうことだ……）
　ラーメンタイムな一同がざわつく。
　なぜなら現れた少女の格好は、頭に乗馬をする人が被るようなライディングキャップ。身体にはぴったりとしたライダースーツ……な、旅鴉月詠だったからだ。
　しかも背中には赤いランドセルを背負っている。
「芸術家、って感じね……！」
　あおいが目を丸くする。
「ツッコミどころが満載すぎてわからないって顔だな」
　月詠は無表情に頷いた。ご自覚はあるのですね……！
　ちなみにママチャリにライドオンです。
「ラジカセ担いでラップを歌うことも厭わない」
「その感じだと。ランドセルの中にも……」
　碧南の言葉に頷く月詠。
　ランドセルの中からはラッカースプレーを始め、ランタンにランプシェードにラム肉、ライム、蘭やライラック……出てくる出てくる四次元ランドセル。
「見た目より容量があるし丈夫。海外では大人に人気のファッションだ」
　己が描いたラクダのイラストを見せながら、月詠は言う。
「……ランドセルって、凄いですね」
　尚輝が呆気にとられながらぼそりと呟けば
「はい……」
　時子も同意する。そんな2人の隣に月詠は腰掛けると
「それでは、私もラーメンをいただこう」
「毎度！アルヨー」
　華菜子が華麗にラーメンを運ぶのだった。

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