『らっ！』を探しだせ！！｜リアクション

『らっ！』を探しだせ！！

　動物園へと向かう途中。
　前方を歩く見慣れた背中をみつけた薄野五月と畑中華菜子。
　お互いに顔を見合わせ。
「おや、あちらにいらっしゃるのは……」
「みっちゃん先生アル！」
　五月と華菜子の声に気付かず、前を行くのは久保田美和。
　現在は2年2組の担任であるが、昨年は五月と華菜子のいた1年4組の担任であり、様々な行事を楽しんだことから今も気軽に話せる教師の一人であり。
　しばらく後ろから美和の姿を見守れば。
「キョロキョロしてるアル」
「えぇ。明らかに男性に視線を送ってますね。ふっふ」
　華菜子の言葉に五月も頷き、笑む。その時、五月はハッと気が付いた。
「華菜子さん、もしかして……！」
　五月の眼鏡がキラリと光れば
「五月ちゃんも気付いたアルな……」
　2人の視線が合い、頷き合う。
「「『ラ』ブを探している人！！」アル！！」
　みっちゃんせんせーーい！と2人の声が通りに響くのだった。

「別に予定もなかったし、華菜子ちゃんや五月ちゃんとお出かけできるのは嬉しいけれど……一体どういうことなの？」
　華菜子には「先生だけが頼りなんですアル！」と熱い眼差しを向けられ、五月には「みっちゃん先生のラブが寝子島と、あとえっと、イケメンさんを救うやもしれませぬ！」と語られ。
「頼られるのは嬉しいし、イケメンを救えるなら大歓迎よ！」
　赤いフレームの眼鏡越しに美和は目を細めながらも
「で、なんで動物園？は！？もしかしてそこにイケメンが……！飼育員さんって世話好きそうだし、優しそうでいいわよね！」
　途端に目にハートマークの浮かぶ美和に「あぁハイハイ」なテンションの五月と華菜子。
「とりあえず、みっちゃん先生にも『ら』を探していただきたいんです」
　五月の言葉に
「よくわからないけど、オッケーよ！」
　ノリ良き先生に感謝するのだった。

　動物園内。
「ラクダに、ラマ……ラッコはいないか」
　『ら』のつく動物達を探すご一行だった、が。
「羊駝って書いてラマって読むのよねー」
「読めないですね。アルパカはどう書くのでしょう」
　普通に、動物園を楽しんでいた。
「羊駱駝って書くアルなー！」
「アルパカ……可愛いです。ふっふ」
　アルパカを見る視線が異常に熱い五月。いつまでも見ていられる。あぁ動物園最高！
「ところで、『ら』を見つけてどうすればいいの？」
「「！？」」
　忘れていた。とても忘れていた。
「動物をそのまま公園に連れて行くのは難しいアル」
「何かこう……ぬいぐるみとかでしたら大丈夫かもしれませんね」
　かくして、一行はお土産ショップにて無事に『ラクダのぬいぐるみ』『ラマの缶バッジ』『ラクーンドッグ（たぬき）のぬいぐるみ』を購入するのだった。

　もう既に、夕方に近づいている時刻。
「わぁ、もう夕方になってきたアル」
「そろそろ公園に行きましょうか」
「それなばらラーメンを作りに猫島軒に帰るアル！」
　華菜子と五月がこっそりと話していると、ぬいぐるみやら荷物を持った美和が2人に笑いかける。
「で、これをどうするのかしら？」
　美和の言葉に、華菜子は
「先生！お腹空いてませんか！一緒にラーメン食べましょう！公園で！」
　公園？とキョトンとした表情を見せるに
（自分でもちょっと何言ってるかわからないアルが……！）
　流石に厳しいか、そう思いながら華菜子が美和を見る。
　五月は「あー、たくさん歩いたらお腹もすいてきましたねー。ふっふ」と空腹をアッピール！
　そんな2人に美和は
「よくわからないけど、オッケーよ！」
　ノリ良き先生で（以下略）