『らっ！』を探しだせ！！｜リアクション

『らっ！』を探しだせ！！

「意外と色んなものがあったね」
　ミラから話を聞いた八神修と七夜あおいは、あおいの住む桜花寮へとやってきていた。
　２人が運ぶ買い物袋の中にはライター、ラムネ、ライチの他にラジオやテニスのラケットも。
「ラベンダーのポプリ、いい香りだね」
　ポプリに顔を近づけ、その香りを堪能するあおいに
「このアイテムをどう使われるかわからないけれど……回収可能だったらあおいにあげるよ」
「本当？ありがとう」
　笑みを見せるあおいに修も眼を細め。
「それじゃあ、作るか」
　修が取り出したのは、食パンの耳。
「ラスクって、手作りもできるのね」
　既製品を購入することは容易いが、せっかくならばと手作りをすることにした２人。
　パン耳をレンジでチンして乾燥させ、カリカリになった所を今度はバターで炒める。
　バターがしっかりと染みたら、蜂蜜を絡め、最後にきな粉とグラニュー糖をまぶせば
「完成だ」
「すごーーい、こんなに簡単にできちゃうんだね！」
　あおいの瞳が輝く。
　料理下手なあおいではあるが、そこまで技術が必要ないことと修が万全のサポートを行ったお陰でラスクは無事に完成した。
「あぁ、結構上手くできたね。味見してみようか」
　手作りラスクに指を伸ばし。それぞれが頬張れば
「うん、美味しいっ！」
　美味しそうなあおいの姿に、修は安堵と幸福感を感じた。
　そんな所に
「あれ？２人共何を作ってるの？」
　180cmの高身長ガール、羽生碧南が桜花寮の厨房へ顔を出した。レインボーカラーのTシャツが眩しい。
　碧南もまた、先程公園でミラの話を聞いていた一人であり、修とあおいの姿を見つけると声をかけた。
「あぁ、２人でラスクを作っていたんだ」
「そうかラスクも『ら』だもんねっ。美味しそうね」
　その碧南の眼差しに
「碧南ちゃんも味見してみない？美味しく作れたの」
　良い、かな？と修に視線を送るあおいの姿に、恋する男・修は断る理由があるだろうか、いやない。
「結構上手に出来たと思うんだ」
　そう言いながら、手作りラスクを碧南へと渡せば
「いいの？ありがとう、いただきます！」
　ん、美味しい！と、嬉しそうな表情を見せる碧南に修もあおいも笑みを浮かべ。
　その美味しそうな表情に、更にラスクへと手を伸ばすあおいと修。
「これが、地球を救う味だな」
　そう言う修の言葉に、モグモグと口を動かしながら頷くあおいと碧南だった。

（ラスク、美味しかったぁ）
　碧南の顔が綻ぶ。
　まだやることがある、という修とあおいと別れ、碧南が向かうは近所のパン屋へと向かった。
「このライ麦パンくださいっ！」
　元気良く店員へ伝える碧南。そしてイートインコーナーがあったことを思い出す。
　今日のオススメは「ライ麦サンドセット」。
（味見も必要よね……！）
　そう思った碧南は
「すみません、このライ麦サンドと……あとコーヒーも店内でお願いしますっ」
　かしこまりました、と店員が微笑み。
　商品が手早く提供され、碧南は席へ着く。
　ライ麦パンのサンドイッチは、乙女ゲー『６月は恋雨の日々』で登場人物の桐谷嶺也が手に持っていたものと同じように見えて仕方なく。
「あぁ、嶺也が作ったサンドイッチ、とっっっっても美味しいよぉ……！」
　うっとりととろけるような幸せな表情で、サンドイッチを頬張る碧南だった。