魔界すごろく！｜リアクション

魔界すごろく！

◆みんなで遊ぼう魔界すごろく！　～３～

　ころころ、ころころとサイコロが次々投げられていく。１、２、３、４、と様々な目が盤上に並び、プレイヤーは何かに追い立てられるかのようにマスの上を進んでいった。

「よぉし、頑張っちゃうわよ！」

　恩もこう言ってサイコロを振る。出た目は『１』だった。それと同時に陽太もサイコロを振り終え、進んでいく。

「さて、どんなマスに止まるかなぁ？」

　どこかわくわくしながら、陽太はぴょんぴょんとマスの上を進んでいく。その度に白い服の裾も靡いていった。途中で一旦止まると、その後ろの方から、同じマスに止まったらしき春彦とロベルトの悲鳴が響いてきた。

「うぉぉっ、なんだこいつら！！」
「うわっ、天界なのに悪魔がいる！？　怖っ！」
「ひとまずにーげろー！」
「ちっ……さっきからいい加減にしろ！」

　妙に深刻な響きのそれに、陽太は振り返る。

「ありゃ？」

　すると、春彦、ロベルト、征一郎の三人が悪魔に追われて、必死に逃げ回っていた。猛スピードで飛ぶ三人はあっという間に陽太を追い越していく。それによって矛先を陽太に変えた悪魔は、彼に向かってびゅんと飛んでくる。陽太は目の前に迫った悪魔に冷や汗をかいた。

「って、わーーっちょ、待っ……！」
「呉井兄も、捕まりたくなきゃ逃げろ！」

　背後から響く征一郎の声に、陽太は慌てて空高く飛んだ。

「わ、わわわっ」
「捕まるのは勘弁だよぅ！」

　そうして３マス分進んで人間界に落ちてしまった頃、追いかけてきたはずの悪魔はどこかに消えて、平穏が戻ってくる。

「はぁ……はぁ……」

　安堵すると同時に、疲労と空腹がどっと襲ってきた。陽太は荒い息を吐きながら、こう呟く。

「始めっから悪魔に追いかけられるとかついてないわー」

　そうして三人の方を振り向くが、征一郎は人間界に堕ちた衝撃で足を挫いていて実に痛そうだ。共通しているのは、頭の上と背中にあったはずの天使の輪と羽は消えて、寝子島で見る姿とそう変わらない服装になっている。
　人間界はどうだろうと、陽太は辺りの様子を伺った。旧市街に似た町並みには飲食店が並んでいる。ちょうど空腹だった陽太は、

「ごはん食べよぅ」

　と言いながらその中に入っていった。

　一方その頃、紅葉と恩は揃って出た『１』の目に目を丸くする。

「あらやだ」
「早速一回休みになっちゃったわね」

　指示通りに進むと、何処からともなく現れた天使に門番の仕事を任され、二人は天界の門の前に座り込むことになった。紅葉の華やかなドレスが厳かな門に彩を加える。
　そうしているうちに、ちょっとサボりたくなってきた。恩はふと、その隅でぼーっとしている七瀬に気付くと手を挙げる。

「紅葉ちゃん、七瀬ちゃん、おしゃべりでもしましょ～」

　七瀬も恩に気付くとそちらへ振り向いて、口角を上げた。そうして三人門の前に並んで、話に花を咲かせる。特に紅葉と恩は最近のファッションにコスメにと次々話題を繰り出して時に七瀬を置いてきぼりにするほどだった。
　このようにして一巡目は終わり、二巡目がやってくる。