アニマル♡ウェディング撮影会｜リアクション

アニマル♡ウェディング撮影会

●猫さんと一緒

　薄野五月が選んだ撮影場所はエノコロ岬。
「海が見えるところが良いかなって思いますし。自然そのままコースにピッタリだと思いませんか？」
　それもあるが、自由きままなところが猫さんの素敵なところだと思うゆえ、という理由もある。
　猫さんを抱き上げて写真をとってもらいたいが、猫さんの心はいかに。
　いつも遊んでいるねこじゃらしで、野良猫の心を掴むことに。
　ひょい、ひょい、とねこじゃらしを動かして、まずは猫と遊ぶ。
　楽しくなってきたのか、猫さんは、いつも通りに五月と遊んでいる気分に。
（撮影を忘れてはいけませんね）
　猫さんと遊ぶ、ではなく、猫さんとウェディング撮影を、という本来の目的を思い出す。
「猫さん、ちょっと私とウェディングしませんか？」
　声をかけると近寄って来てくれたので、頭や顎のところを「いい子ですねー」と撫でて抱きあげた。
「ふっふ。やあ、相変わらず良い毛並みですなー」
　抱き上げて毛並みを誉め、大人しくなったところで「写真を撮ってください」とカメラマンに合図を。
「ふっふ。やあ、わくわくしますねー」
　うにゃ？　と首を傾げながら五月に抱っこされている猫さんは、今から何するのー？　と言っているようだ。

　ここでも、いろんなウェディングを楽しみつつ、猫に変身した響タルトがいた。
　猫になっては、スタッフに紛れ込んでバスに乗って移動しているので、けっこう大変な思いをしている。
　……かと思いきや、疲れているどころか、元気に他の皆の撮影会の様子を楽しんでいた。
（あの猫と一緒に撮影してみたいなー）
　いきなり乱入すると追い出されそうなので、撮影の様子を見てチャンスを窺う。

「いい表情ですねー。猫ちゃんも可愛いですよー」
　猫さんがじっとするのを嫌がらないかと心配な五月だったが、大人しく抱っこされているので一安心。
　恥じらい気味の笑顔は初々しい花嫁みたいだったので、見学していたギャラリーは素敵……とウットリ。
　猫さんが大人しかったので、撮影は早めに終わった。
「ご苦労様でした。楽しかったですねー」
　着替えたら、たっぷり遊んであげますねと話しかける五月に、1匹の猫が飛びついてきた。
「わっ！　な、何ですか！？」
　飛びついたのは、乱入しましたーと言っているようなご機嫌のタルトだった。
「こんにちは。私と遊びたいんですかー？」
　違うんだけど……と言えないので、タルトは甘えるように鳴いて誤魔化すしかなかった。
　これで遊びましょう、と、ねこじゃらしを持ってきて、五月は猫さんとタルトと遊び始めた。
　微笑ましい光景、これもいい！　と、カメラマンはこのシーンも撮影した。

（こうしていると、あの時みたいだなー）
　一緒に遊んでいると、友達と一緒に多くの猫と楽しく遊んでいた日のことをタルトは思い出した。
　各々、違う種類の猫のパーカーを着て、猫耳フードを被って猫になりきって楽しく遊んだことは今でも覚えている。
　猫になることで、あの時の猫達も今の自分みたいに楽しい気分だったのだろうか。
　そう思いつつ、タルトはねこじゃらしにじゃれついた。
　この子とも撮りたいが、終わったので残念ですと思いつつ、五月は猫さんとタルトと遊ぶ。
「またこういう撮影会があったら、私と一緒に撮りませんかー？」
　僕と？　とちょっぴり驚くタルトに「いいですかー？」と訊ねる五月。
　あるかどうかわからないけど、お誘いを断ったら悪いかも……と思い、可愛く鳴いて五月にスリスリ。
「ありましたら、可愛く着飾って撮影しましょう。ふっふー」
　期待に胸が高鳴る五月に抱っこされたタルトは、本当にあったらどうしよう……と複雑な気分に。

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