Let's Play！｜リアクション

Let's Play！

【タイトルをえらんでください。】

　その部屋には、総勢８人の少年少女達が集められていた。
「実況配信、か。どちらかといえば、非電源派なんだけどねぇ」
　溜息混じりに言ったのは、実況者名『５６８』こと八重崎五郎八だった。
　顔隠しに能面を浅く被り、彼女がプレイし始めたのは『きよしの果たし状』。
「せっかくだし、ちょっとお茶目してみましょうか」
　そう言って、彼女はタイトル画面で突然攻撃ボタンを連打し始める。
「あたしもそのゲーム知ってる！　マイクに歌ったり、１時間放置したりするんだよねー」
　アニメ「ネコキュア」の仮面を被り、同じく『きよしの果たし状』に挑戦し始めたのは実況者名『ゆらら』こと落合まゆらだ。
「えーと。まずは部屋を出たら、何の罪もない民間人を１７人皆殺しにして、と☆」
　物騒な話だが、このゲーム、終始、こんな感じなのである。
「実況ねぇ。まあ慣れてるっちゃ慣れてるけど」
　若干戸惑いつつ、仮面もつけずに実況を開始したのは、実況者名『深青嬢』こと仙藤蒼だった。
「こんにちわー！　深青嬢です！　じゃあ、今日は『魔猫村』を攻略するよっ！」
　選んだのは、レトロゲーでも屈指の難易度を誇る『魔猫村』。
「このゲーム、主人公のニャーサーが鎧を着た状態ダメージを受けるとパンツ一丁の姿になるんだけど『なんでだよ！』って感じよねー」
　いつもやっている通り、ゲームの内容に突っ込みつつ、蒼はいとも容易くステージを攻略していく。
　一方、実況者名『Ｎ課長』こと水守流もまた無理ゲーに挑戦する猛者の一人だ。
「はい！　というわけで、始まりましたゲームセンター猫Ｘ！　課長のＮでございます！」
　某番組のパロディをやりつつ、流は『猫魔城伝説』のカセットをセットする。
「今回挑戦するゲームはこちら！　猫魔城伝説！　ゲームセンター！　猫Ｘ！　かちょＯＮ！」
　電源を入れると流れ出す、レトロゲーとは思えぬ高クオリティのＢＧＭに、ゲーマーな流の気持ちは否応なしに高まり出す。
　さて、そんなレトロゲームをプレイする者達がいる一方で、最新の鬼畜ゲーをプレイする者達もいる。
「説明！　これから４人で一緒にやるゲームは「デッド・バイ・デイリー」っていう、超怖い殺人鬼のＮＰＣから、４人で協力して逃げ回りつつ、入り口を開くためにいくつか置いてある発電機を直して、脱出を狙うゲームです！」
　ベネチアンマスクを被り、これからプレイするゲームの内容をメンバーと視聴者に解説するのは、実況者名『文月』こと史越奈津樹。
「わー！　ぱちぱちー！　先輩、よくわかる解説どうもやでー」
　キツネ面をつけて、口でぱちぱち言っているのは、実況者名『イナリ』こと伏見真だ。
「ふむふむ、殺人鬼から逃げながら入口の電源を直して脱出しないとなんだネ」
　白いにっこり顔の仮面をつけて、楽しげな感じに頷くのは実況者名『egg』こと風見鶏スグリ。
「俺も知ってる知ってるー☆　今流行りのー……殺人鬼に追っかけられる怖いゲームじゃん！」
　そして、ペストマスク越しにも狼狽がわかる様子で悲鳴を上げたのが、実況者名『Ｐ先輩』こと綴柚枝だった。
　彼らは同じ寝子高パソコン部のメンバーで、今回は協力して、一本のゲームの攻略にあたるようだ。
　かくして、８人の少年少女達はそれぞれのパッドを手に、思い思いの実況プレイを披露し始める――。

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