Let's Play！｜リアクション

Let's Play！

【ぜっきょうしてください。（２）】

　いつのまにか、視聴者のみならず、部屋にいた全てのプレイヤーの視線がＤＢＤの画面に集まり始めている。
　そうしているうちに、二人は脱出ゲートにたどり着く。
　だが、ここでまた脱出ゲートを開くために、いくばくかの時間が必要だった。
「……あかん！　捕まってしもた！　ぎゃ～！」
　と、そのときついに真のキャラも殺人鬼の餌食となり、手近なフックに吊るされてしまう。
　かと思えば、次の瞬間には殺人鬼は最後の力を振り絞るように凄い勢いで脱出ゲートに向かってくる！
「あばあっばばば！？」
「わあ、Ｐセンパイが壊れた！　よし、こうなったらオレの出番だ！」
　まだゲートが開くためのゲージは半分ほどしか溜まっておらず、そこでスグリが身を挺して柚枝が逃げる時間を稼ぐ。
　自ら飛び込んできた獲物に殺人鬼は容赦なく獲物を振りかざした。
「ギャア、シビレル！？」
　スグリのパッドがビリビリ電流を発して、ついにスグリも瀕死の状態になった。
「……っ……ゲージ、あとちょっとね！」
　蒼がゲージに視線を走らせて言う。
「さあ、果たして、彼らは一人でも脱出できるのでしょうか！」
　流は、ゲームをクリアした熱をそのままにＤＢＤの実況も続けている。
「もう少し！　頑張って！」
　と、無事に『きよし』をクリアした五郎八も声援を送り、
「ファイトだよ！」
　まゆらも声優ならではのボイスで応援の言葉をかける。
　が、そこに殺人鬼が猛烈な勢いで迫ってくる。
　殺人鬼だけではない。配信終了時間も、あと１分に迫ってる。
「あああああああああああああああああああああ！！」
　と、柚枝の喉から絶叫が迸ったとき、ついにゲートが開いた。
『今だ、走れ！』
　部屋中に大勢の声が響いた。
『走れ！』『あと少し！』
「……っ……わあああああああああああああ！！！」
　柚枝がパッドの移動スティックを全力で倒す。
　しかし、そこに殺人鬼がすぐそこにまで迫っている。
　殺人鬼の移動速度は生存者のそれより速い。
　ゲートに逃げる柚枝に追いすがり、容赦なくナイフを振り下ろそうとする。
　だが――。

「……やった！！！」

　あと０．１秒遅ければナイフがヒットしていたというところで画面が切り替わり、脱出成功の文字が出た。

『クリアーおめでとうございます』

　と、そのときモニターにもそんな文字が表示される。
　見れば、残り時間はあと１秒。
　本当に、ギリギリの戦いだった。

　と、その瞬間、部屋が眩い光に包まれて――

『え？』

　部屋にいた８人は、全員、一瞬で、その意識を失った。

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