【夏至まつり】A Long Long Day｜リアクション

【夏至まつり】A Long Long Day

●お土産～未来の約束

　いっしょに蝋燭を飛び越え、またさらに距離の縮まった卯木衛と壬生由貴奈は、今日の想い出に互いにプレゼント交換をしようとお土産コーナーにやってきた。
「うーちゃんはなにをくれるのー？」
「由貴奈さんにあげるのは……」
　ナナカマドの実をイメージした赤い飾りのついた指輪を差し出す。
「結婚してください……ってのはまだまだ早いんだけど。いつか、未来の約束ってことでもらってもらえます？」
　もちろん、だった。
　由貴奈は指輪を手に取って、陽に翳す。
「……へぇ、綺麗な指輪だねぇ。確かに結婚するには早いけど……ありがと。嬉しいよぉ。早速薬指にはめちゃおーっと……」
　衛がどきまぎと見守る中、由貴奈は薬指にナナカマドの指輪を嵌めて、そっと口づける。そんなに高い物じゃあないけれど、衛の想いのこもった指輪は、100カラットのダイヤモンドより素敵だった。

「うちはこれだよぉ」
　由貴奈から衛へのプレゼントは、スズランの花冠。
「はいどーぞぉ」
　彼の頭にそおっと被せる。
「うえぇ……！？　俺これですか！？」
　花冠はあまりに可愛らしすぎて、意外というか、狼狽えてしまう。
「そ。これからもずっとうーちゃんには今のまま、うちと一緒に元気で幸せでいてほしいからね」
「嬉しい様な恥ずかしい様ななんだかすげえ解せないんだけど……」
　スズランの花言葉は『幸せが再び訪れる』。大切な人に贈る、幸せをもたらす花。
　死がふたりを分かつまで。
「うん、よく似合ってるよぉ」
　由貴奈が嬉しそうだとやっぱりうれしい気持ちになって、衛は花冠を被ったままにしておいた。
「由貴奈さん」
「ん？」
「大事にしますね」

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