【夏至まつり】A Long Long Day｜リアクション

【夏至まつり】A Long Long Day

●プロローグ

　夏至。
　それは一年で一番昼の時間が長い日。
　世界には、この特別な一日を祝う祭が様々ある。
　だが、６月下旬と言えば梅雨ど真ん中で、太陽の顔を拝むことなく過ぎ去ってしまう。
　ゆえに……かどうか知らないが、今の日本では、夏至まつりはハロウィンよりもマイナーだ。
　ところが今年の夏は暑すぎた！
　６月からピーカン晴れの真夏日が続き、皆、熱中症を心配するほどだ。
　そんな中、寝子島の有志が立ち上がった。

　そうだ、夏至まつりをしようじゃないか！　――と。

「６月だというのに何なのこの暑さは……」
　羽生碧南はまだ初夏の段階でいささかバテ気味であった。
「で、なに？　夏至まつり？　この暑い中、ビーチで世界中の国々の夏至の催しを体験する、と……」
　正直最初は、冗談でしょ日に焼けるじゃない、なんて思ったのだが。
「えーなになに？　『お清め体験で海にどっぷりつかれる』……？」
　碧南の脳裏に、あおーい海とつめたーい水の感触が溢れた。
　海でぷかぷか。空に浮かぶ雲とか、すいーっと飛ぶカモメなんか眺めたりして……。
「なんか涼しげで気持ちよさそう」
　想像するうちその気になって、やって来ました、寝子ヶ浜海岸！
　浜辺にはたき火はお土産コーナーなんかが出来ていて、祭りとしてはそんなに大規模ではないけれど、手作り感満載なアットホームな感じがあっていい雰囲気。
　なんかプリ尻な人は居るし。
　サンマさんも褌締めてるし。
　カップルたちもちらほらいるし。

「んーっ！　暑いけど、暑さふっとばして楽しんだ者勝ちって感じね！」

　碧南はさっそくお清めコーナーへ足を向けた。

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