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グッドキャット・シティのある事件簿
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【爪とぎの作法】
そのうち自分のところを訪れる者があるだろうと、アリサ・マジキナには確信があった。だから探偵が助手を伴い店に現れたのを見つけても、アリサは煽情的な踊りを止めることはなかった。
バー『セクシーキャッツ』がニャンダルシアなどと大きく趣きを違えるのが、このショータイムだ。何も着けていないに等しいような衣装をまとい、時に後ろ足を大胆に開脚し、時にポールへ絡みつき腰をくねらせる。そうしている間、かぶりつきのねこたちは酒もニボシ煙草も忘れてアリサの虜となり、十数分の間、店は完全なるアリサの支配下へと落ちる。彼女がオスたちを手玉に取るのだ。
そんな中、煙を吹かしてただ自分を見つめるビリー・ハワードを、アリサは真っすぐに見つめ返した。
「あの、すみません。ちょっとお話を聞かせてもらいたいんですが」
ビリーの年若い助手は、先ほどのステージの余熱にまだ浮かされているのか、頬をほのかに赤くしていた。リョウ・ニッタと名乗った彼はまだ少年に見えたが、しかしステージが終わり、再びバーにあふれ始めた喧噪の中でも臆せず振る舞う姿には、アリサにも彼のくぐってきた修羅場をいくらか連想させた。彼が助手たる所以だろう。
「何の用?」
そっけなく、分かり切ったことを尋ね返す。探偵が自分に何か尋ねるのなら、その話題は一つしかあるまい。
「ルシア・マーロンとルームシェアをしていたとか。何、そう手間は取らせんよ。二、三聞かせてほしいだけさ」
ビリーは手近な卓の灰皿へ火のついたニボシ煙草をねじ込むと、鷹揚に言った。
アリサはビリーと助手を待たせて控室へ引っ込み、たっぷりの時間をかけてプライベートな装いに着替えた後、彼らを店のカウンター席へと座らせた。あまり懇切丁寧に対応してやるつもりもないが、話くらいはしてやらないこともない。気は進まないにしろ、アリサにはそうする理由があるのだから。
「バーボンをもらおうか。リョウ、君は何にする」
「えっ、俺もいいんですか? じゃ、じゃあビール……」
「彼にウーロン茶を。アリサ、君も好きな物を飲んでくれ」
遠慮なくお気に入りのカクテルを馴染みのバーテンダーへ注文し、スツールに腰を据える。
ビリーを見もせずに、アリサは切り出した。
「ルシアと一緒に住んだのは、二年くらい。気立てが良くて、でも歌手を目指してるって割りにはどこか垢抜けなくて、純朴で……地味な子だったけど。あたしはあの娘が好きだったわ」
今でも思い出す。ルームシェアの相手を見つけた時、ルシア・マーロンは古き良き田舎の故郷から出たての素朴な少女で、アリサは心中に安堵したものだった。商売柄きつい性格のメスとも付き合いがあったが、毎日顔を合わせるならこのくらいの平凡さが安心できる。
夜のダンサーはハードな仕事だ。身体中を酷使し、スタイルを維持するためにトレーニングや食事制限は欠かせず、仕事場ではオスどもの不躾な視線や軽いハラスメントにも耐えねばならない。
ルシア自身も芸の道を志しているからか、彼女はアリサのそんな事情を実に良く慮ってくれた。不規則なアリサの睡眠を邪魔することは決してなかったし、出がけには軽く済ませられる気の利いた食事を用意してくれたり、過労で寝込んだ時には介抱してもくれた。共同生活は充実していたと言って差支えはあるまい。
「まあ、それも一年くらいだったかしらね」
「というと?」
生真面目にメモなど取りながら聞き返すリョウに、アリサは肩をすくめて見せる。
「ニャンダルシアで働き始めた頃からね。あの娘が少しずつ変わっていったのは」
ぼやけた記憶を手繰り寄せる。あるいはあえて思い出すまいと、心の奥底に秘めんとしているからだろうか。
「……急に派手になっていって。大人しくて人当たりの良い娘だったのが、どんどん高飛車になっていったわ。あの娘には才能があったのね、ニャンダルシアの歌姫なんて呼ばれるようになる頃には、すっかり金回りも良くなって。結局、二年目の終わりに彼女、引っ越していったわ」
思い出は星の数ほどある。良きにしろ悪きにしろ、とりとめのない思い出が無数に。まるでこの街の夜空に瞬くネオンサインと同じだ。
話し終えると、彼らは店の外へ出た。立ち去り際、伝えておくべきか迷っていたら、探偵のほうからアリサへ声をかけた。
「彼女との共同生活の終わりに。何か、気になることはあったかね」
今でも、いつも考えている。あの言葉には、どんな思いが秘められていたのだろう。
彼女はあの時、何を思っていたのだろう。
「最後に……言ってたわ。『あたしには財産があるの。過去という財産がね』って」
何故彼女が生きている間、あの言葉の意味を確かめようとしなかったのだろう。
アリサは自問に暮れながら、夜のグッドキャット・シティへと溶けていった。今夜はきっと、眠れそうにない。
「先生……あれで良かったんでしょうか?」
ビリーはある種の厚顔無恥と評していいほどに無遠慮な男だが、事件に心を傷める者への思いやりが欠けているというわけでもない。リョウは未だ年若く、ビリーの考えを深く理解するには至らないようだ。
「あの女性、ずいぶんと悲しい顔をしてましたよ。俺たちがイヤな思い出を掘り起こしてしまったんじゃ……」
「世の中にはな、自分で自分の爪も研げないねこがいるもんだ」
先生とリョウが呼ぶ彼の語る言葉に、首をひねることはしょっちゅうだ。
「彼女は、研げるねこさ。心配はいらんよ。それより……」
「それより? ……はっ!」
「どうやら我々は、彼女より自分の身を心配するべきのようだな」
推理の類は苦手と自覚するリョウがビリーの後をついて回る理由の一つこそが、これだ。
絵に描いたようなゴロツキだった。十匹は超えていようか。小柄なリョウが見上げんばかりの屈強そうなオスねこたちにずらりと道を塞がれ、ビリーは辟易とした顔を隠さなかった。
「先生、下がってください。俺の後ろに」
「そうさせてもらうとも。おれは綺麗好きなんでね」
「何だと……」
ゴロツキの一匹が太い前足の袖をまくり、進み出る。
こんな時は、サーカス団出身のリョウが持つ、多彩な特技が役に立つ。ナイフ投げに軽快な身のこなし、隠密行動、時にはスリや窃盗……時には護衛役も。このグッドキャット・シティで探偵を営むビリーの助手として、それらは申し分のない能力と言えた。
リョウが身構えた瞬間、強烈なねこパンチが飛んできた。あのちっとも柔らかくなさそうな肉球で殴られたら、頭の中身がこぼれてしまいそうだ。とっさに身をかがめてパンチをかいくぐり、リョウはカウンターの一撃を腹へ撃ち込む。続けざまに、三匹。一匹は踏み込みながらのストレートで一打必倒、突き出されたナイフをさばきながら足をすくい、よろめいたところへアッパーカットを叩き込んでやった。
「うぐっ……!」
もう一匹の靴先がリョウの鳩尾へめり込む。詰まる息に顔をしかめながら半身を翻して追撃のボディブローを避け、ジャブの連打から再びのストレート。
計四匹のねこどもを寸の間に叩き伏せてみせたリョウだが、ゴロツキどもは未だ壁のように立ちふさがる。
「大丈夫か?」
「まだいけます! 先生、こいつらは? 何者でしょう?」
「聞いてみたらどうだい。話してみりゃ、案外良い連中かもしれないぜ」
「そんな顔には見えませんが……!」
背後にライターへ火を灯す音を聞きながら、次の一匹の懐へ飛び込もうと構えた時のことだった。
「なんだ。もめ事か?」
リョウと歳も変わらない、まだ少年に見える雑種らしき黒猫だった。荒々しい現場を前に、どこか眠そうな瞳でこちらを眺めている。肩には布にくるまれた何やら長いものを背負っていた。
少年はゴロツキどもとリョウ、それにビリーを見比べた後、のんびりした口調でリョウへと声をかけた。
「手助けは?」
「必要ない。と言いたいところだが、ちょっと辛いな」
「分かった」
少年は迷いもなくリョウと並び立ち、背負っていた包みをするりと解く。なるほど、臆することのない彼の態度に合点がいった。包みから現れたのは、ジャパニーズ・カタナを模した木剣だったのだ。
「サムライの兄さん。世話焼きもいいが、お節介が過ぎると痛い目を見るぜ」
ゴロツキの中でもひときわ大きな体格のベンガルのオスがドスを利かせた声で凄むが、少年はそしらぬ顔だ。
そして次の瞬間、リョウは彼とともに飛び込み、その余裕を証明するかのように、瞬く間にオスたちの半数を叩き伏せて見せたのだ。
「ふん……おい、もういい。行くぞ」
ベンガルは形勢不利と見たか、あっさりと部下であろうねこたちを引き下がらせ、そそくさと去っていった。
ふう、とリョウは息を吐く。脇腹が痛むが、大したケガではない。それにビリーを守り切ったことに誇らしい気持ちこそあれ、悪い気分ではなかった。
「助かったよ。あんた、強いんだな」
「お前もな。この街にもできるヤツがいるもんだ」
名前を尋ねようとしたものの、黒猫の少年は木剣を元どおり包みへ収めると、そっけなく手を振り風のように立ち去っていった。
「やれやれだ」
騒がしいひと時が去り、繁華街の裏路地に立ち込める特有の暗がりが戻ってきたところで、見学するばかりだったビリーがぽつりとつぶやいた。
「バーニー・スタイルズか。きな臭くなってきたもんだ。あの黒猫の少年が割り込まなけりゃあ、危なかったな」
「……あのベンガルですか? 先生、連中が何者か、分かってたんですか?」
「格闘家崩れのチンピラ、掃き溜めが似合いのロクデナシさ。今はウォッシュバーンの子飼いに収まってるらしいがね」
その名を聞いて、思いのほかことが大きくなってきたことを自覚し、リョウは今さらながらに武者震いを感じる。
「まったく。これだから探偵はやめられんよ」
直後に、疲れた顔でため息まじりに漏らしたビリーのセリフの真意はどこにあろうかと、リョウは大いに首をひねった。探偵とは、かくも難解な生業であることか。
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墨谷幽
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ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
推理・サスペンス
動物・自然
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年06月03日
参加申し込みの期限
2018年06月10日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年06月10日 11時00分
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