いきなりグルメリポート！　甘味制覇できるかな｜リアクション

いきなりグルメリポート！　甘味制覇できるかな

◆やせの大食い女子、スイーツの山に挑む

「こ、ここは……？」

　楡宮遠海はきょろきょろと辺りを見回しながら困惑していた。大人びた雰囲気とは裏腹に、致命的なまでの方向音痴である彼女は、またしても道に迷っていた――というのが最後の記憶で。そんな中、少女に声をかけられてから、なぜか今、この店の中にいる。

「どこだっけ……」

　部屋はファンシーかつポップに可愛く飾り付けられており、中央には大きなカウンターとテーブル。さらにそのテーブルの端っこには、チョコレートファウンテンがごうごうとチョコレートを流していた。テーブルの上には色とりどりのスイーツが並んでいる。
　もう一度部屋を見渡して、遠海は首を傾げる。そうしていると、備え付けられたモニターに不知火ゆかりの姿が映った。

『あのー……もしかして状況が呑み込めてなかったりしますか？　大丈夫ですか？』
「大丈夫じゃないわね」

　遠海がそう言うと、ゆかりはこの番組について説明を始めた。それに納得すると、遠海はテーブルの上に並ぶスイーツに目を向ける。

「ちょうどお腹も空いてたし……」

　選り取り見取りで、どれも美味しそうだ。悩んで、決められなくて、遠海はサイコロを手に取った。

『しょうがない人ですねー。張り切ってダイスロール、行っちゃいましょう！』

　サイコロが二回転がる。

『ストロベリー&ベリー・ケーキとチョコミントプリンに決定しましたー！　というわけでスタッフさん、よろしくお願いしまーす』

　ゆかりがモニターの中で指を鳴らすと、扉から黒服のスタッフが現れて、遠海のテーブルにささっと皿を置く。皿の上には、赤く艶々とした苺とベリーののったケーキと、水色の爽やかな、可愛らしいグラスに入ったチョコミントプリンが盛り付けられていた。遠海は先に、ケーキを食べる。

「……美味しい！」

　遠海は瞳を輝かせながら、感想を言った。

「舌の上でまずストロベリーとベリーの香りと果汁が溢れて、その甘酸っぱい味わいがクリームやスポンジの甘さと絡み合ってて……」

　その調子でパクパクと食べ進めていく。ケーキが皿から消えた後、遠海はモニターの方を見た。

「いくらでもいけちゃいそう。ホールで食べていいかしら？」
『いい食べっぷりですねー！　どうぞどうぞ』

　遠海がそう言うと、スタッフがぞろぞろと現れてテーブルに皿を置く。今度はホールだ。遠海はそれもさらりと完食して、今度はプリンに手を伸ばす。

「今度はこっちを食べるわ」

　柔らかな層にスプーンを通して、するりと口の中に入れた。

「あ、こっちも美味しい」

　滑らかな舌触りとミントのシャープな味が彼女の舌を刺激する。

「滑らかな食感にミントのシャープな味わいと、チョコチップのアクセントが絶妙で……待って。もう一口」

　そしてそのまま、流れるように完食する。遠海は空になった皿を見遣り、こう言う。

「なんだかまだ物足りない気が……」

　そしてテーブルに並ぶスイーツを見た。片っ端から取り、全種類をパクパク、モグモグ。

「うん、美味しい！」

　そういう遠海はそれはそれは幸せそうだった。

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