いきなりグルメリポート！　甘味制覇できるかな｜リアクション

いきなりグルメリポート！　甘味制覇できるかな

◆Sweet Heaven

「むずかしいことはよくわかんないけどー？　ここが天国っぽいところだってことはわかったよね！」
『そう！　というわけで』
「ということで」
『もりもり食べていただければー』
「もりもり食べちゃうよー！」

　本居陽毬はぐっと決意を固めて、テーブルに並ぶスイーツを見る。プリン、艶々とした苺、爽やかなミント香るケーキ。アイスも種類が充実していて選り取り見取りだ。チョコレートファウンテンの前にはマシュマロやカステラ、パン、いちごなどなどこちらもこちらで悩ましい。

「さて、どうしようかな」

　陽毬はテーブルを見渡した後にサイコロをちらりと見るが、また視線を戻した。

（だってどうせ全部食べるもんね！）

　そしててくてくと歩いて行くと、並ぶスイーツを右から順番に、崩れないように丁寧に盛りつけていく。なんせお菓子は、目で楽しんでそして舌を楽しむもの。陽毬なりのこだわりで、スイーツは絶妙なバランスで載っていく。そしてお皿の限界が来ると、陽毬は戦士の顔で食べ始めた。次に甘味が食べられるのはいつか――わからないからだ！　なんといったって今月もお金がない。

「いただきます！」

　食いだめの機会を逃さないとばかりに、皿の上のスイーツを食していく。さくさくのパイ生地が重なるミルフィーユやふわふわのシフォンケーキ、滑らかなムース、可愛らしいトッピングののったアイスクリーム……それらが陽毬の手によって、とても美味しそうに食べられていった。食べている途中ではっと気が付いたのか、陽毬は食べる手をいったん止める。

「ところでこれ、ちゃんねる？　なんだよね？　何か面白いこと言った方がいいのかな？」
『そうしてくれると嬉しいんですけどねー、率直な感想を言ってくれればそれでー』
「そっかー」

　とりあえずピースしておこうとばかりに、陽毬はぴんと指を立て、カメラに向けてピースサインと笑顔を向けた。

「美味しいでーす！　しあわせ！」

　可愛らしい笑顔にぱっとどこからか花のようなエフェクトがつく。陽毬は皿の上に残っていた最後のケーキを食べ終えると、首を傾げた。

「ところでこれ、出演料でるの？　どうなの？」
『もちろん、お出ししますよ。SRSNはクリィーン！　そこらのブラックな組織とはわけが違うのです！』
「よかったー！」

　今月の残りの日々を、美味しいものが食べられるかどうか……！　という切実な心配も解消されたところで、陽毬は両手を上げて喜んだ。そうしたら安心したのか、お腹が空いてきた。陽毬はまたテーブルの前に並び、ひょいひょいとスイーツを取っていく。

「いっぱいおかわりしよう」

　そして美味しいスイーツを、お腹いっぱいになるまで食べていった。

「食事、それは原初の欲望。甘い物を目いっぱい食べたーい、というのは乙女の夢ですよね。皆さん、いかがでしたか？」

　仮想空間の外、マイクの前に立った生身の不知火ゆかりの前にあるのは、無数のモニターだった。そのモニターには、スイーツを食べて幸せそうな出演者の顔が映っている。

「SRSNの特殊処理は企業秘密。どうしてカロリーがなかったことになるのか……それは永遠の謎ということで、よろしくお願いしまーす」

　そしてくるりと回転すると、どこか遠くの、誰でもない誰かへ向けて言うように語り掛ける。

「では名残惜しいですが、これにて『いきなりグルメリポート！　甘味制覇できるかな』は一時閉幕！　ご視聴ありがとうございましたー！」

　奇妙なくらい明るい声を最後に、その番組は終わった。

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あとがき

担当マスター：六原紀伊
ファンレターはマスターページから！

ご参加ありがとうございました。六原です。
夢のようなスイーツビュッフェ、いかがでしたでしょうか。

参加者の皆様にはこのシナリオから数日後ぐらいにSRSNからそれなりのお金とお礼の品が送られます。
お礼の品の詳細については、個別コメントの方でお知らせしております。

『詩歌句ノ怪』以後のシナリオリリース予定ですが、気楽に参加できるものを１、２本書こうと思います。
そちらでもご縁がありましたらよろしくお願いします。

最後に、SRSNの今後について。
今回の番組は続けつつも、また別の番組を考えているそうです。続編、あるいは別番組はまた別のシナリオにて。

それでは皆様、またMewTubeでお会いしましょう。

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