いきなりグルメリポート！　甘味制覇できるかな｜リアクション

いきなりグルメリポート！　甘味制覇できるかな

◆笑顔が一番

「食った感想いえばいいのか……わかった、まかせろ！」
『話が早くて助かりまーす』

　ゆかりの説明を聞き終えると、源竜世はえっへんと胸を張り、元気に頷いた。そしてダッシュでスイーツの並ぶテーブルの前に来ると、

「何にしよーかなー！」

　と真剣に悩み始めた。普段家ではお菓子を食べ過ぎると母親に怒られる。でも今は、何を食べても大丈夫。そんな夢のような話に、竜世は内心わーいとはしゃぎまわっていた。

「よし！　えーっと……」

　真っ白な皿の上に、竜世は山のようにスイーツを盛っていく。それが終わるとダッシュで席に着き、両手を合わせて元気よく口を開いた。

「いっただっきまーす！」

　そう言って竜世が最初の一口に選んだのはショートケーキだ。表面はシンプルに、クリームの上にイチゴが一つ……と思いきや、開いてみると断面にはカットされたイチゴがクリームと一緒にぎっしりとスポンジ生地に挟まっている。竜世はそれを見て顔を輝かせた。

「うまそう！」

　大きな一欠けらを頬張ると、その瞳はキラキラと煌めく。

「うめー！」

　もぐもぐふくふくと頬を動かしながら、竜世は更に一口、もう一口と食べ進めていった。

「あーおいしかったー！」

　幸せそうな笑顔の竜世の近くでモニターがチカチカと光る。彼が訝し気にそれを見ると、少し困ったような笑みを顔に浮かべたゆかりの姿が映った。

「……ん？」
『あのー、一応これ、食レポってことになってるので』
「あ、そうだ感想言わなきゃじゃん」

　はっとした竜世は先程まで食べていたショートケーキの味を思い出しながら、うんうんと唸りつつ感想をまとめる。

「えっと……すごくあまい！　いちごいっぱいでうまかった！」

　眩しい笑顔で言うと、次はシュークリームに手を伸ばした。両手で持ってかぶりつくと、全力で“美味しい”を表現した蕩けた顔になる。

「これもおいしー！」

　シュー生地の隙間から零れた白いクリームが指につく。竜世はそれをぺろぺろと舐めとると、

「クリームがすっげーいっぱいはいってる！　おいしー」

　ともぐもぐ。プリンもそのように幸せ全開の笑顔で食べられていった。山盛りのスイーツもついに最後の一つになる。

「最後はフルーツがいっぱいのってるやつだ！」

　竜世はわくわくとそのフルーツケーキを見て、

「やったーうまそう！」

　と言うと、大きく一口、口いっぱいに頬張った。

「おいしー！」

　もう一口、モグモグと食べて言う。

「くだものおいしい！　すっげーうまい」
『そちらのフルーツケーキはあの有名な××屋からです』

　ゆかりの解説が終わると、竜世は目の前にいた黒服のカメラマンに向けてフォークを差し出した。その先にはケーキひと掬い分。

「おっちゃんも食ってみろよ！」

　黒服は少々迷いつつも、ゆかりの無言の指示にパクリ。

「あーん」

　視聴者に向けて“あーん”しているようにも見えるこの動きは、とても可愛らしい。満面の笑みの竜世が、

「な！　すげーうめーだろ」

　と言うと、黒服は思わずパチパチと拍手した。

『……すみません、最近の小学生を少し侮っていました。ゆかりちゃん、完敗です』

　モニターの中のゆかりがどこか悔しそうに言う。しかし直ぐに気を取り直してにこにこと笑う。

『語彙力に若干の不安がありますが、笑顔が一番の感想ということでー……いいですよね？　可愛いですし。では次、行ってみましょー！』

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