ＳＴＯＰ、銀行強盗！｜リアクション

ＳＴＯＰ、銀行強盗！

【エピローグ】

　銀行に集った10人のもれいびの脳裏に、ミラ・ペプロメーノの声が響き渡る。

『皆さん、平和な未来が確定しました！　本当にありがとうございました〜！』

　同時に特殊な空間となっていた銀行の空気が変わった。
　バトルフィールドが解除されたようだ。
　しばらくすれば、警察が到着するだろう。

「もう大丈夫のようね。お疲れ様」
「ええ、そのようですわね。お疲れ様でしたわ」

　いつの間にか金庫室からロビーに転移した尾鎌と上下は、互いの健闘を讃え合う。
　尾鎌がネコキュア面の男を引きずって、ロビーの一角へ運ぶ姿はなかなかシュールだ。

　その先には、ゴアラ男とニャンダム男が縛り上げられている。
　三人ともまだ意識を取り戻していないが、おそらく気がついても脱出はできないだろう。
　肉体的なダメージはもちろん、ろっこんが使えないようにそれぞれの発動条件は封じられていた。
　ニャンダム男は口笛が吹けないように猿ぐつわを噛まされ、ゴアラ男も指一本動かせないように厳重に手を縛られている。
　ネコキュア男の発動条件は防ぐのが難しいが、その代わり動けないように念入りに全身をしばられていた。

　恵御納は強盗の末路を見て、視線を落としてつぶやく。

「……僕よりずっと強くて、ろっこんも優れてるのに何で……」
「確かにな。ゴアラ面の男も正直、私一人だったら手に負えなかっただろう」
「ニャンダムの男も十分な腕を持っていたと思う。真剣に武術を学んでいたはずなのに、どうして道を踏み外したんだか」

　冷静に戦いを振り返る旅鴉の言葉に、同意するサキリ。その姿はどこか残念そうでもあり、怒りを感じているようにも見える。
　過去の経験故に普通を望みながら普通になれない彼からすると、思うところがあるのかもしれない。

　3人の会話に対して、ザ・ストレイト（風雲児）は、許せない思いをにじませて答えた。

「神様からの借り物を、自分の力だと勘違いしたんだろう」
「ああ。彼らのろっこんを封じることができるか、テオやミラに相談しておくべきか。防犯カメラに俺たちの姿が写っていたら困るな。そっちも対処してもらわないと」

　事後処理について頭を悩ませる八神。

　落ち着きを取り戻し始めた人質の様子を確認し、新田は武道家の間でよく言われる大切な言葉を思い出していた。

「愛なき力は暴力なり、力なき愛は無力なり、か」
「私は可愛いものへの愛のためならいくらでも戦うし、絶対に負けないわよ！」

　いまだに少女を可愛がりながら、力強く宣言する小田切。

「……そう」

　朝鳥は、感情の見えない視線を小田切とその腕の中に包まれた少女に合わせ、小さく。
　本当に小さく首を傾げたのだった。

【終わり】

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