ＳＴＯＰ、銀行強盗！｜リアクション

ＳＴＯＰ、銀行強盗！

　距離をおいたネコキュア男は、オナラをする。
　続けてもう一回。加えてさらにー回。

　4人のネコキュア男に四方を囲まれる尾鎌。
　一人一人が100キロの巨体なだけに、その圧迫感は半端なかった。

「……下品なやつね」
「負けるわけにはいかないのでな」

　一斉に拳を振るうネコキュア男たち。さすがの尾鎌も完全には捌ききれず、その身に青あざを作る。
　普通に考えれば、もはやただの袋叩き。いかに武術の達人であっても、多勢に無勢のはずだった。

「私を忘れてもらっては困りますわ」

　ここに上下がいないのであれば。

「むぉ！　なんだこれは？」

　ネコキュア男の一人が不可解な動きをする。それは当然だっただろう。
　お面の目の部分を2枚のお札がしっかりと塞いでいたから。

「本来、殿方の勝負事に手を出すのはご法度かもしれませんが、ろっこんとはいえ四対一。私が援護しても、まさか卑怯とはいいませんわよね！」

　上下は、手にしたお札に杖の先端を打ち付ける。
　それは、物体の距離を開けたり詰めたりできるろっこん『Close to you』の発動条件。

　手から離れたお札は、風の中をすり抜けるようにまっすぐ飛び、ネコキュア男のお面との距離を0にした。
　ただでさえ悪い視界が完全にふさがり、パニックを起こす男の顎を尾鎌の掌底が穿つ。
　途端に消滅する分身。

「分身の術、破ったりですわ～！」

　上下の歓声を背に受けつつ、唇から流れる血を拭い尾鎌が精悍な笑みを浮かべる。

「……さて、本物に当たるのは何回目かしら」
「ま、まだまだ！」

　更にオナラが響き、増えたネコキュア男が襲いかかる。
　しかし、尾鎌は落ち着いていた。

　上下が先ほどと同じようにサポートしてくれるだろう。
　ならば、たとえどんなに相手が増えようとも、真っ向から迎え撃つ。

「それが乙女を背に守る武人ってもんでしょ？」

　結果、13回目に繰り出した掌打が本物の顎を的確に打ち抜き、ネコキュア男は脳震盪を起こして倒れたのだった。

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