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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
薔薇色の休日
【想いを閉じ込めて】
ワークショップの会場には旅鴉 月詠、畑生 言嗣、御巫 時子、宮祀 智瑜らが集まってポプリ作りに励んでいた。
好きな色の薔薇のドライフラワーを丁寧にばらし、何種類か好みのスパイスやハーブと混ぜる。そして薔薇のエッセンシャルオイルを数滴垂らして器や袋に詰めれば出来上がり。
作業工程自体は対して難しくなく、色合いや香りは人それぞれで自由に出来ると言う楽しみがある。
月詠は芸術家らしく、器となる瓶の形を吟味し、またどうすれば綺麗に見えるかと配色を考えながら黙々とポプリを詰めていた。様子を見に来た早苗もそのセンスに拍手を送る。
言嗣は作ったポプリを彼女へ手土産として渡そうと考えていた。
「きっと感極まって抱きついてくるに違いない」
涼しい顔で彼女の反応を予想して口にするが、生憎と同意してくれる存在はいなかった……が、早苗だけは「きっと貴方の大切な人は喜んでくれるわ」と肩を叩いた。
智瑜は先ほど購入した薔薇の苗木を傍に置き、ポプリを詰めた袋を結ぶリボンで悩んでいた。
「義弘先生は何色が似合うかな……やっぱり青、かな」
悩んだ結果、自分のリボンとお揃いの青いリボンをきゅっと結ぶ。
「……うん、いいかも。義弘先生、受け取ってくれるかな」
そっと出来あがったポプリの入った小袋を撫でる智瑜の隣で、ピンクの花弁で作ったポプリを小袋に納めた時子が早苗に声をかけた。
「あら、何か解らないことがあったかしら？」
「あの、先ほど白薔薇に触れたら、中に少し赤が入ったピンク色になったんです……。もし、あの赤が愛というものを表しているのなら、これから先薔薇が真紅に変わることもあるのでしょうか……」
時子が控え目に尋ねれば、早苗は目尻の皺を深くして微笑んだ。
「花の色は変わりやすいわ。例え赤い薔薇として生まれても、太陽や土、水、気温……そして人の手、色んなものに影響されて変わっていくの。人の心も同じ。何色に染まっていくかは貴女次第よ」
「私、次第……」
時子は早苗の言葉を反復し、想い人のことを再び頭に思い描く。
（これからも傍にいられますように……）
そして祈りながら、ポプリの小袋を大切にポケットにしまうのだった。
薔薇園内のショップは主に土産を選ぶ客で賑わっていた。
そんな中で後木 真央は薔薇ジャムの瓶が並ぶ棚の前で唸っていた。
「さすが薔薇ジャム、中サイズの瓶が猫鳴館の寮費２か月分を超えるのだ……」
新聞の記事にする為、名前と値段はしっかりチェックしてメモする仕事熱心な真央。
店員にも記事にしていいかちゃんと許可をとっており、余念がない。
そして園芸コーナーの方では何種類かの薔薇の苗木の前で椿 美咲紀が顎に指をあてて悩んでいた。
「どの子にしようかな～♪」
悩む様子もどこか楽しげだ。
弘明寺 能美子は生花コーナーの前に立っていた。
休日ということもあり派手めの装いだが、アクセサリーは控えめだ。
そこには繊細な薔薇を傷つけないようにという能美子の配慮が表れていた。
「……ここにあるの、全部。一本づつ頂けないでしょうか」
さらりと能美子は店員に告げる。
店員は慣れた対応だが、周りにいた客の中には驚いて振り返った者が何人かいた。
薔薇は決して安い花ではない。
そして店に並んでいる薔薇の種類は20近くもある。
その合計金額は普通の高校生の財布から出すにはなかなか厳しいものがあった。
「カードで」
しかし周囲の視線も気にせず、能美子は平然とカードでの支払いを済ませる。
そして薔薇の花束を抱えて、不思議な薔薇を触りに来た客達を横目にさっさと自分の寮に帰ろうと踵を返した。
（怖い……誰かの想いが、移ってるかもしれないし）
客達から目を逸らし、能美子はウォーキングだと自分に言い聞かせて早足で寮に向かうのだった。
霧谷 朧と美崎 岬は土産物を選んでいた。
「バラが食べれるなんて知らんかったんよー。ジャムにすっかなー」
「私もジャム買おーっと。あとシロップも！あ」
岬があるものを見つけて目を輝かせた。
そして、それをぷすっと朧の髪に挿す。
「ん？」
「やだ可愛いっ……！ 写メって良い？ 待受にして良い？」
岬が朧の髪に挿したものは薔薇の造花だった。
「な、何してんさ！？ 写メとるなし！ 待ち受けもっとだめだし！ か、可愛いとか言われても嬉しくないんよ!!」
朧は撮影される前に頭に飾られた薔薇を慌てて外し、拗ねてそっぽを向く。
そんな様子を岬はクスクス笑って、そっぽを向いている朧の鞄にこっそり先に会計を済ませておいたマグカップを潜り込ませる。
その紫の薔薇と三日月の絵が描かれた黒いマグカップには、『楽しい1日をありがとう』という気持ちが込められていた。
ワークショップの会場には旅鴉 月詠、畑生 言嗣、御巫 時子、宮祀 智瑜らが集まってポプリ作りに励んでいた。
好きな色の薔薇のドライフラワーを丁寧にばらし、何種類か好みのスパイスやハーブと混ぜる。そして薔薇のエッセンシャルオイルを数滴垂らして器や袋に詰めれば出来上がり。
作業工程自体は対して難しくなく、色合いや香りは人それぞれで自由に出来ると言う楽しみがある。
月詠は芸術家らしく、器となる瓶の形を吟味し、またどうすれば綺麗に見えるかと配色を考えながら黙々とポプリを詰めていた。様子を見に来た早苗もそのセンスに拍手を送る。
言嗣は作ったポプリを彼女へ手土産として渡そうと考えていた。
「きっと感極まって抱きついてくるに違いない」
涼しい顔で彼女の反応を予想して口にするが、生憎と同意してくれる存在はいなかった……が、早苗だけは「きっと貴方の大切な人は喜んでくれるわ」と肩を叩いた。
智瑜は先ほど購入した薔薇の苗木を傍に置き、ポプリを詰めた袋を結ぶリボンで悩んでいた。
「義弘先生は何色が似合うかな……やっぱり青、かな」
悩んだ結果、自分のリボンとお揃いの青いリボンをきゅっと結ぶ。
「……うん、いいかも。義弘先生、受け取ってくれるかな」
そっと出来あがったポプリの入った小袋を撫でる智瑜の隣で、ピンクの花弁で作ったポプリを小袋に納めた時子が早苗に声をかけた。
「あら、何か解らないことがあったかしら？」
「あの、先ほど白薔薇に触れたら、中に少し赤が入ったピンク色になったんです……。もし、あの赤が愛というものを表しているのなら、これから先薔薇が真紅に変わることもあるのでしょうか……」
時子が控え目に尋ねれば、早苗は目尻の皺を深くして微笑んだ。
「花の色は変わりやすいわ。例え赤い薔薇として生まれても、太陽や土、水、気温……そして人の手、色んなものに影響されて変わっていくの。人の心も同じ。何色に染まっていくかは貴女次第よ」
「私、次第……」
時子は早苗の言葉を反復し、想い人のことを再び頭に思い描く。
（これからも傍にいられますように……）
そして祈りながら、ポプリの小袋を大切にポケットにしまうのだった。
薔薇園内のショップは主に土産を選ぶ客で賑わっていた。
そんな中で後木 真央は薔薇ジャムの瓶が並ぶ棚の前で唸っていた。
「さすが薔薇ジャム、中サイズの瓶が猫鳴館の寮費２か月分を超えるのだ……」
新聞の記事にする為、名前と値段はしっかりチェックしてメモする仕事熱心な真央。
店員にも記事にしていいかちゃんと許可をとっており、余念がない。
そして園芸コーナーの方では何種類かの薔薇の苗木の前で椿 美咲紀が顎に指をあてて悩んでいた。
「どの子にしようかな～♪」
悩む様子もどこか楽しげだ。
弘明寺 能美子は生花コーナーの前に立っていた。
休日ということもあり派手めの装いだが、アクセサリーは控えめだ。
そこには繊細な薔薇を傷つけないようにという能美子の配慮が表れていた。
「……ここにあるの、全部。一本づつ頂けないでしょうか」
さらりと能美子は店員に告げる。
店員は慣れた対応だが、周りにいた客の中には驚いて振り返った者が何人かいた。
薔薇は決して安い花ではない。
そして店に並んでいる薔薇の種類は20近くもある。
その合計金額は普通の高校生の財布から出すにはなかなか厳しいものがあった。
「カードで」
しかし周囲の視線も気にせず、能美子は平然とカードでの支払いを済ませる。
そして薔薇の花束を抱えて、不思議な薔薇を触りに来た客達を横目にさっさと自分の寮に帰ろうと踵を返した。
（怖い……誰かの想いが、移ってるかもしれないし）
客達から目を逸らし、能美子はウォーキングだと自分に言い聞かせて早足で寮に向かうのだった。
霧谷 朧と美崎 岬は土産物を選んでいた。
「バラが食べれるなんて知らんかったんよー。ジャムにすっかなー」
「私もジャム買おーっと。あとシロップも！あ」
岬があるものを見つけて目を輝かせた。
そして、それをぷすっと朧の髪に挿す。
「ん？」
「やだ可愛いっ……！ 写メって良い？ 待受にして良い？」
岬が朧の髪に挿したものは薔薇の造花だった。
「な、何してんさ！？ 写メとるなし！ 待ち受けもっとだめだし！ か、可愛いとか言われても嬉しくないんよ!!」
朧は撮影される前に頭に飾られた薔薇を慌てて外し、拗ねてそっぽを向く。
そんな様子を岬はクスクス笑って、そっぽを向いている朧の鞄にこっそり先に会計を済ませておいたマグカップを潜り込ませる。
その紫の薔薇と三日月の絵が描かれた黒いマグカップには、『楽しい1日をありがとう』という気持ちが込められていた。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2013年07月07日
- 参加申し込みの期限
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- 2013年07月14日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2013年07月14日 11時00分
