【星幽塔】第一階層　コボルトの真実｜リアクション

【星幽塔】第一階層　コボルトの真実

【部屋Ｃ　ＶＳオーク　予定外の増員】

　ビゾンは、獲物のナックルでオークにとびかかろうとした。
　しかし、目に違和感を感じつぶる。
　そう、取り巻きのコボルトがビゾンの目に石を投げたのだ。
　その瞬間を逃さず、オークの一撃がビゾンを襲う。
「しまっ」
「おっと！」
　予想された痛みは来ない。
　シツが割って入り、オークのアックスをいなしたからだ。
　が、すぐに飛びのく。そこにコボルトが回り込みこん棒を足に思いっきり当てようとしていたからだ。
　それを見たコボルトはいったんオークのそばから少し離れる。
　状況は前衛にオークとコボルト１体。後衛にコボルト2体だ。
「いくぞ！」
　オークが斧を振りかぶったスキを見逃さず、ビゾンはオークに迫り肉弾戦を挑む。
　ニヤリ、とオークは笑うとそのままアックスを振るわずに柄の部分で飛びついてきたビゾンを下がりつつ殴打する。
「ガッ！」
　慣性の法則で下にたたきつける攻撃を食らったビゾンはそのまま地面と衝突し、顔面にダメージを受ける。
　そしてそのままオークはビゾンの頭を踏みつける。
　ごきっ！
　シツは嫌な音だと思った。それっきりビゾンは動かなくなる。
「邪魔くせぇ！」
　シツは野太刀を構えると、そのまま突風を背後で起こしオークに突撃する。
　ずんっ！
　シツの狙いはそのまま反撃もかまわずに、野太刀を深く差し込み旋風を起こすことだ。
　そうすれば隣のコボルトも含め大きな一撃を与えられる。
「臓物ごとぶちまけろってね！」
　そのまま間合いに入るが、そこにコボルトが1体飛び込んでくる。
　オークをコボルトが「かばった」のだ。
　そして持っていたこん棒をシツに投げつける。
　思いっきり鼻にこん棒が当たり、思わず目をつぶるシツ。
　が、野太刀は離さず、そのまま突き刺す。しかし、目をつぶったところに次々と石礫が飛んでくる。
「ふざけるなっ！」
　風の力が爆発し、コボルトが飛び散り、オークも吹き飛ばされる。
　その光景を目にしつつ、シツはゆっくりと倒れていった。

「間に合わなかったか？　いや、大丈夫！」
　シツが地面に倒れた時、部屋Ｃには次の侵入者がいた。
　亮、樹、月詠、ティオレ、夏朝の南入口組と、サキリ、リリエル、メリィの北入口組である。
　剛糸輪と雷が舞い、投げナイフが飛ぶなど。
　結果論から言うと、数の暴力の前に体力が先ほどの戦いで削られていたオークとコボルトは屈したのである。
　なお、とどめは誰かがしたとかそういう次元ではなく、もう見せられないレベルでオークはぐちゃぐちゃになり、コボルトは無残になった。