【星幽塔】第一階層　コボルトの真実｜リアクション

【星幽塔】第一階層　コボルトの真実

【森へ】

　緊急依頼。
　この4文字の情報が街を駆け抜け、瞬く間に14人の精鋭が集まった。
　一行はすぐに準備を開始すると、まとまって森へと向かった。
　獣道をたどれば西側か南側で進入路が分かれる。
　森の中に侵入してしまえばわかれることはできないが、今ならまだ距離もあるし、パーティーを分けることもできるだろう。
　一行はここで人数を二手に分けることにした。
　14人の大人数で動けば悟られやすいし、一方が見つかってももう一方は近づけるという心算だ。

　なお、依頼を受けたのは15人だが、1人はすでに立っていたので後追う形になった。
　無茶はしないだろう、と踏んで一行は進んでいく。

　まず、ここで北入口チームは以下の通り。
　サキリ・デイジーカッター
　シツ・カラスマ
　桜庭円
　御剣刀
　メリィ・ランページ
　リリエル・エーテライト。
　ビゾン・ヘッドロン
　
　戦闘力が比較的高く、範囲攻撃を持ち合わせた攻撃特化である。
　うまく戦闘が運べば、早めに決着がつくかもしれない。
　よい参謀がいればこのチームは強いだろう。
　逆に、取り回し次第では苦戦しそうな面々だ。

　そして、南入口チームは、
　恵御納夏朝
　椿美咲紀
　ティオレ・ユリウェイス
　新田樹
　新田亮
　旅鴉月詠
　八神修

　比較的軽装で、柔軟性がある組み合わせだ。
　急変時の対応能力が高く、ティオレのような盗賊はダンジョン探索には不可欠だ。
　また、月詠のようなゲーム全盛期の知識があるのは強い。理不尽なゲームが多いのだ。
　回復やテクニカルに攻めるが、力押しは難しい面々だ。

「では、食料を配布する」
　別れる前に、月詠は絵に封印した食料やら道具を渡していく。
「助かった。便利だなそれ」
　シツは驚きつつも絵を受け取る。
　彼女のろっこん【絵空事】は、いわゆるテーブルトークＲＰＧで言うところのウィルダネスアドベンチャーのような状況において無類の強さを発揮する。
　絵に封印して複数持ち歩くと、破られない限りオンラインゲームで言うアイテムボックスに等しい。
「燃やしたり濡らしたりしないようにね」
　そういってシツやみんなに冒険必需品を渡していく。
「あと」
　全員が別れる前に、月詠はいう。
「コボルトが弱い、というのはこの際頭から捨ててもらおう。あれらは暗殺チームと同義だ」
　ほんとうか？　と疑うような目線を向けるものもいれば、頷く者もいる。
「人間は……、多少頭が回り、数が揃えば脅威になる。今コボルトも同じ立ち位置に立っている。行けば分かるが、誰かが死んだり大けがをすると寝覚めが悪いのでね、では、行こうじゃないか。愛されざる脅威を確認しに」
　そういうと、一同も散っていく。
　果たして、無事に帰れないものはどれくらいいるだろうか？
　そして、あと1人……骨削瓢はどこに行ったというのだろうか？
「何か企んでいる気がする」
　彼を知るものは、おおよそがそういう。

このページにイラストを設定する