その日、
チェス・ブルームはモンスターの駆除を行う冒険者たちを街で見ていた。
「いやぁ、いろいろ足りなくて大変なんですよ」
「初めての冒険なので入念に準備しなくてはいけなくて……!」
そう言って、照れて笑う4人の新人たち。
戦士と治癒師と盗賊と魔法使い、というバランスの良い取り合わせだ。
ある程度の危険ならば、はねのけてしまうだろう。
「星の力をもっとうまく使えれば……いえ、これから成長していきましょう」
パーティーの魔法使いが言う。
どうやら、このパーティーは今から簡単な依頼を受けに行くようだ。
(縁があれば、私のいる店にもくるでしょうか? ……ですが一般的な武器は置いてないですからね~)
そういって、チェスは意識の外に彼らを追いやった。
数日後……!
「おい! 誰か水と包帯をもってこい!」
「治癒師はいないのか!」
チェスは、その光景を唖然とした表情で見ていた。
片目にナイフが刺さり、さらに鎧の隙間に致命傷を受けた戦士。
片腕を切り落とされ、喉を一撃で掻き切られている盗賊。
そして、首だけになった治癒師の3人がいた。
それを傍らで見守るのは
シツ・カラスマ。
どうやら、途中で出会って彼らを助けてきたようだ。
「あの、何かあったんですか~?」
チェスは、シツに話しかける。
「あぁ、ここから一日ほど歩いた森の中で、こいつらは襲われたようだ」
シツも多くは事情を知らない……、どうやら単純に森から出てきたところを助けただけのようだ。
チェスは、とりあえず死んだ者たちの埋葬を手伝うことにした。
「そろそろ落ち着いたか? 何があったか話してほしい」
シツが戦士が落ち着いたところで彼に話しかける。
「俺たちは……コボルトを駆除する依頼を受けたんだ」
コボルト。そう聞いて周囲は蔑んだような目になる。
コボルトは比較的弱い個体で、強いものに対しては奴隷のように使われる。
と一般的には信じられている。
「そこで、何があったんだい?」
シツは重ねて話しかける。
「お、俺たちはコボルトに全滅させられたんだ! 嘘じゃない信じてくれ!」
「まず、獣道を歩いていたら罠に引っかかった。そこに、遠くから石が飛んできた! それに、彼らは突然現れて3人1組で襲い掛かってくる! それに、姿は犬っぽくなんてなかった。あれは、あれは……!」
戦士がおびえて震える。
おぞましい何かを見たかのように、唇は青くなり、顔は色を失う。
「このままだと、とらわれた魔法使いが危ない! 街も……もうおしまいだ! あいつがが生贄にされて、危険なドラゴンがやってくる!」
うわぁぁぁと、戦士は正気を失って叫ぶ。
そのこともあり、緊急でコボルトの駆除依頼が人数を拡大して募集された。
その依頼を見ながら、シツは首をかしげていた。
コボルトは弱い個体で、簡単に初心者でも倒せる「はず」だった。
しかし、生贄にドラゴンと不穏な単語があった。
でも見た者はおらず、到底信じられるものではない。
「いったい何が起こったんでしょうか?」
チェスが同じ依頼票を見ながら尋ねる。
「わからん……が。この依頼、正面から挑むと厳しい戦いになりそうだ」
そう言って、彼はため息をついたのであった。
どうもじんのです。
ファンタジー、とくに外国産のあたりまえを国産に持ち込みました。
というわけで、初心者狩りといわれるコボルトシナリオです。
このシナリオは世界一のRPGシリーズの設定をもとにアレンジしております。
ファンタジーとは、いかに危険なものか、身をもって体験していただけたらと思います。
あ、あと今回はMAPを挙げています。
本来は自然な洞窟なのですが、エクセルなので直線になっています。
なんとなく、程度の把握に役立ててください。
依頼
やること:コボルトの討伐
場所:街から歩いて1日くらいの場所にある森。
概要:森の中にある岩の洞窟の中にコボルトたちが住み着いた。
彼らは、近くの池から水を引き、生活の拠点を構築している。
彼らが繁殖する前に、すべて討伐をしてほしい。
備考:前回討伐に当たったパーティーが戦士を除き死亡・および生死不明。
同パーティーの魔法使い(女性)は生贄のためにとらわれている模様。
安否の確認と、死んでいた場合には遺品の回収。
危険なモンスターがいた場合、原則は討伐すること。
ただし、かなわないのであれば存在の証明の品を回収し、持ち帰ること。
報酬:コボルト討伐パーティー参加者に、成功時銀貨1枚
遺品回収者に追加で銅貨5枚追加
危険なモンスターの証拠品回収者には銀貨1枚追加
※具体的な数は依頼としては不明ですがメタ情報です。
通常のコボルトの数はPCの人数+2体となります。
また、それに加えてコボルト・シャーマンと、岩の洞窟の奥にベビードラゴン。
用心棒にオークが1体います。
地形
【キャラクターの行ける場所(外)】
おおよその位置関係は地図を出します。
森:針葉樹が多くあり、地上は薄暗く見えにくい。周囲一帯はすべて森。
開けた草原:岩までおよそ30メートル。草が生い茂っている。時々切株があり、伐採されたような感じがうかがえる。ここで治癒師が罠に引っ掛かり、けがをしたという。
草を結んで、引っかかって転ぶという。なお、岩の上に時折コボルトがいて、そこから石を投げてくる。
池:池です。深さは約3メートルほど。ただし、広い。
水路:身長が120㎝以下なら通れる水路。土を掘って泥で固めてから水を流したイメージ。
岩内部は別に記述。半径20メートルほどの巨大な岩。ただし、丸ではなく、ぼこぼこしていて、周囲にも1~5メートルほどの岩が点在している。高さも20メートルが最大で、登ろうと思えば上に登れます。ロープが水路側に垂れており、そこでコボルトたちは上り下りしているようです。
【キャラクターの行ける場所(岩の洞窟)】
戦士の証言や推測に基づいた内部です。
入口は3か所あります。
※通路全般:ほぼ1人ほどが通れる穴です。体格が小さければ2人いけます。
2人がいける時の基準は、身長は120㎝以下で、横幅が細い人です。
1、北側:2人ほどが通れる小さな入口。
部屋Cまで10メートル。途中、2人ほどが入れるくぼみがある。
コボルトなら3匹はいれる。ここでパーティーは全滅している。
2、南側:2人ほどが通れる小さな入口。
部屋Cまで10メートル。途中、2人ほどが入れるくぼみがある。
コボルトなら3匹はいれる。中央から部屋Dまで15メートル。
3、水路側:身長が120㎝以下1人なら通れる入口。
水路は20メートルほど。
4、部屋A:護衛部屋。オークたちの待機所であり、生活空間。
コボルトたちも立ち入る。
人間から奪った武器や防具もここに持ち込まれる。
5、部屋B:天然の牢屋。木や岩を使って簡易の牢屋になっている。
(時代劇とかでよくあるやつです)
ここに、コボルトたちはオークの食料やドラゴン用の生贄を保存します。
コボルトたちは、植物や動物を食べる雑食性です。
入口に罠がある可能性あり。
6、部屋C:中央部屋。食事をとったり、牢屋の人間をいじめたりする場所。
コボルトたちの生活空間。非戦闘系のコボルトもここにいることが多い。
また、部屋の隅の方に戦士たちのための武器がある。
スリングやダガー、こん棒だ。
7、部屋D:炊事やそのた生活系の場所。
水たまりの中にウーズがおり、ごみカスを処理することもある。
基本的に水はきれいに保たれている。
8、部屋E:儀式部屋。ドラゴンのゆりかご。
コボルトシャーマンのここにいる。魔道具などもあるかもしれない。
ドラゴンが青年になるまでここでお世話になる生活空間。
中央左に台座があり、そこに藁を積み重ねドラゴンをお世話にしている。
モンスターの解説
モンスターの解説
本シナリオにおけるモンスターの解説です。
じんののシナリオの中で扱うイメージだと思ってください。
コボルト
体長は110㎝程度の小型生物。
かつて、ドラゴンが世界に生まれた時、
ドラゴンの神が幼体の弱さを憂い作り出した護衛といわれている。
トカゲのような風体を持ち、ドラゴンの亜種である。
まるで犬のように吠えたことかや、
他の世界のこともあって誤解があり犬の姿で伝わった。
本シナリオではドラゴンの亜種である。
なお、彼らのコミュニケーションは犬の鳴き声のように、
短く吠えたり、遠吠えで仲間を呼ぶ。
非常に憶病で常に3人1組で戦おうとする。
周囲の地形を使い、常に危険を意識し行動している。
基本武装はスリングとこん棒。日光の下だと目が見えづらいようだ。
コボルトシャーマン
コボルトの中でも知性を持った個体が、
星の力の一部を使えるようになったといわれている。
基本的なスペックはコボルトと同じだが、周囲に指示をする知恵がある。
ドラゴンの色と同じ星の力を操り、幻覚や魅了に耐性を持つ。
星の力による何らかの現象は1日に3回までしか使えない。
オーク
体長170㎝から最大で200㎝以上まで育つ中型種族。
豚に似た鼻を持ち、狭く花崗岩のようなごつごつした顔に、猪のような牙を持つ。
かつて、容姿が醜い神がおり、他の神様が容姿をあざ笑ったところ喧嘩になった。
その際、目玉を打ち抜かれその零れ落ちた目玉がオークとなったと伝わっている。
容姿の美しい種族を優先手に的に殺し、時に食らう。
食べる量が多く、他の(邪悪な)生物の護衛を引き受ける代わりに、
食料をもらうことが多いという。
使う武器は近接戦闘全般(主に巨大なアックス)とショートボウ及びクロスボウ。
ウーズ
じめじめした場所を好む泥と粘菌の集合体。知性はない。
大きさはそれぞれで、主に灰色だったり黄色だったりする。
どこからともなくぼとぼとと滴り落ち、
その体に包まれると全身にしみこむように捕食対象を吸収する。
有機物を好み、汚れも食べるので清潔な場所があれば
そこがウーズの住処だといわれている。
状態異常にならず、金属も溶かす。
また、這いずるように接近し一気に飛び上がり捕食するという行動も目撃している。
今回は、コボルトたちのごみ処理をする係として水場にとどまっている。
ベビードラゴン
ドラゴンは、太古の時代から存在する生命体。
あまりに強すぎてドラゴンにドラゴンの神様が
「君たちの子供保護するから、お願いです信仰してください」
と持ち掛けるほど強く、非常に危険で残忍かつ狡猾な生物。
ベビードラゴンはそのドラゴンの幼体で、
大人のドラゴンが持っている残忍さや狡猾さや、ある種の愉悦とは無縁である。
体の色彩ごとに異なった星の力のブレスを持ち、ベビーとはいえ危険性は高い。
宝石や金銀財貨を集め、自分の理想のためにそれを用いる。
なので、大人のドラゴンの住処にはそういったお宝がたくさんあるといわれている。
アクションのコツ
このシナリオは、1つの流れが存在します。
まず、岩に取りつくまでの過程。
そして、岩の中のダンジョンに入った時の行動。
最後に、戦いたい人がコボルトシャーマンとベビードラゴンとのボス戦。
戦わないなら、そっとドラゴンのうろこをばれないように盗むなどですね。
さて、それを受けたうえで。
まず、目標を決めます。例、コボルトを全滅させるなど。
そのために、どうするかを考えます。
例、森林を踏破し、巣を壊滅させる。
その過程でどこへ行き、何に注意することを書きましょう。
例、部屋Eに行くために、部屋Cまで仲間が行ったら一気に部屋Eに飛び込む。
すべての部屋にどういう注意を払うかよりも、個人の目標を達成する方がたぶんよいかと思います。
魔法使いを助け出すのか、コボルトを全滅させるのか、アイテムを探すのか、ボスと戦うのか、潜入を楽しむのか。
そこをまず明確にするとよいでしょう。
星の力
星幽塔にいると、星の力 と呼ばれる光が宿ります。
★ 基本的な説明は、こちらの 星の力とは をご確認ください。
星の力やその形状は、変化したりしなかったりいろいろなケースがあるようですが、
このシナリオの中では変化しませんので、このシナリオではひとつだけ選んでください。
ひとともれいびにはひとつだけですが、
ほしびとには、第二の星の力(虹)もあります。
★ 虹についての説明は、こちらの 第二の星の力 をご確認ください。
アクションでは、どの星の光をまとい、その光がどのような形になったかを
キャラクターの行動欄の冒頭に【○○の光/宿っている場所や武器の形状】のように書いてください。
衣装などにこだわりがあれば、それもあわせてご記入ください。
衣装とアイテムの持ち込みについて
塔に召喚されると、衣装もファンタジー風に変わります(まれに変わってないこともあります)
もちものは、そのPCが持っていて自然なものであれば、ある程度持ちこめます。
※【星幽塔】シナリオのアクション投稿時、作物・装備品アイテムを所持し、
【アイテム名】、【URL】を記載することで、
シナリオの中で作物(及びその加工品、料理など)・装備品を使用することができます。
※URLをお忘れなく!!!
※オーダーメイド装備品について
鍛冶工房のトピックを経る(またはシナリオなどで得る)場合のみ
アクション冒頭で指定した星の力とは別に、装備品固有の《特殊効果》が認められます。
アイテム説明欄に、トピックでの完成時の書き込みURL・シナリオ入手時のURLを記載してください。
例:http://rakkami.com/topic/read/2577/2116