【星幽塔】第一階層　コボルトの真実｜リアクション

【星幽塔】第一階層　コボルトの真実

【一人細々と頑張る、のだが】

　さて、南入口で別れた修は、1人でコボルトの洞窟の周囲を回っていた。
　分解を使い、岩を寸断し手早く岩で水路をふさぐ。
「あとは、北の入口をふさいで、南側に行くだけか……」
　修の行動は、念のために逃亡するコボルトの逃走ルートをふさぐことだ。
　また、終了後南口で待機し、万が一でもコボルトを取り逃がさないようにするのだ。
　現在は、北と南で同時に侵入がされているので、一つずつやることをやれば間違えない。

　ただ、彼の行動は瓢の行動に影響をもたらした。
「まさか、ウーズに化けることでコボルトに攻撃されるとはね……！」
　そのころ、部屋Ｄに侵入した瓢は部屋にいた2体のコボルトが必死の形相で追いかけてくるのをいなしていた。
　というのも、瓢自身が考えているようにウーズに知性はない。
　そして対象をただひたすら捕食する共生関係だけなら、味方というより中立よりの敵に近い。
　つまり、ウーズに化けるということは、知性がなく自分たちが吸収されるかもしれない脅威が歩いているということだ。
　それがさも知的な行動をとるものだから、コボルトにとっては十分脅威である。
　コボルトらは半ば叫びながら、部屋にあったであろう岩塩を投げつけてくるし、こん棒でたたきつけえてくる。
　そして、ズンと音がする。
　修が水路の穴をふさいだ音だ。
　そのまま水が部屋の中に押し出され水の中にいた停止していたであろうウーズがぷかぷかと浮いてくる。
　水はきれいなので、中の処理は完了しているのであろう。
飢えているウーズの捕食対象は部屋の中の対象に向く。
　それを見ると、コボルトは一目散に逃げ始める。
「こいつはいい、さっさとツボの中に入れちまおう」
　そうして、ツボを見つけた瓢はウーズを入れようとするが……。
　おや？　と予感めいたものを感じ離れる。
　そこにとびかかってきたウーズがべちゃりと地面に着地する。
「……同族も襲うのかい？　なんとまぁ悪食だねぇ」
　こうして、瓢はウーズをとらえようと四苦八苦するのであった。