携帯戦記カプセルギア　外伝　ダンサーズ・クリスマスキャロル！｜リアクション

携帯戦記カプセルギア　外伝　ダンサーズ・クリスマスキャロル！

「僕は羽根をどうにかする。ベレロフォン、頼んだぞ！」
《承知》
　そう答えたベレロフォンは、敵の攻撃を警戒しつつ舞う。その様子を見ながらも凛太郎は「あぁ……気の所為じゃなかったんだな」と少し嬉しい気持ちになった。
（そういえば、デッドエンドの時も急に会話できるようになった気がするけど、あの時限りの仕様ではなかったのか）
　僅かに驚いたが、すぐに頭を切り替える。真白は言っていた。これは祭だと。ならば、全力を持って楽しまなければ、主催者である歪屋に失礼だろう、と。

　一旦下がったBopはキメラ―ιのペイント弾が付いた装備に内心で舌打ちしていた。
《ふん、パワーは、あるようだな》
《君の速さには負ける》
　援護射撃しながらも、彼を励ますようにネオムが言えば、スカルブーティが下がってくるのが見えた。Bopは《交代だ！》と小さく呟いてキメラ―ιへと向かう。
《場合によっては、私も武器を変え前衛に加わるべきですか？》
　Diablo Azulが砲撃を一旦休ませ、状況を見渡しつつ言えば、ベリアルが身を震わせた。
《しゃらくせぇ！　やりたきゃやりゃあいいんだよ、レディ！》
　そう言ってボディにあるブースターから炎を散らし、舞い上がるベリアル。彼は風の攻撃を巧みにかわしながら牽制とばかりに魔法剣を一振り。そしてビットと魔法砲撃を合わせて打ち込み、魔法陣を作り上げた。
「さぁ、ベリアル！　やっちゃって！！」
《おうよ！》
　魔法陣により砂が熱を持つ。キメラ―ιはスカルブーティやBopの攻撃に気を取られ、魔法陣への反応が遅れてしまっていた。
《にげ……ッ》
「《逃がさない》」
　そう言ったのは、敵の観察に専念していたスピカとトライアルγ。ある程度把握できた彼女たちは、攻撃に転じたのだ。
「まずは、これ！」
　攻性デコイを生成し、逃げ場を塞ぐ。後方からはDiablo Azulが迫っている。
（まだ、援護に回っていても大丈夫そう？　今はあの魔法陣に追い込もう！）
　蒼は手早くA.I.C.O.を操作し、威嚇とばかりに砲撃を行う。
《にゃああああっ！！》
　アツアツの砂の上を通り、悲鳴を上げるキメラ―ι。小規模の爆発が起こったのだろう、予想外のダメージに面食らったようだ。
「くっ、これならどうだ！」
　チヒロも負けてはいない。彼（ないし彼女）はA.I.C.O.をするっ、と操作しキメラ―ιが翼を広げる。
「ちょっと段階を上げるか」
《はーいっ！》
　キメラ―ιが翼を広げ、翼をはためかせる。同時に巻き起こるのは砂。だが、それは熱された砂だ！
《散れ！！》
　ベリアルが叫び、攻撃に加わろうとしていたスカルブーティとネオムが下がる。ネージュリェーツとトライアルγはバリアやEシールドで身を守り、Diablo Azulは退避する。
《下がるしかあるまいッ》
　ベレロフォンが砂を避けるべく離れたところに降り立ち、ブルズが庇う様に立つ。
　周囲が砂で隠れると、それに紛れキメラ―ιがその場を離れていた。
「γ！」　《了解、サーチします》
　スピカが叫ぶと同時にトライアルγがサーチを試みる。阿吽の呼吸か、凛太郎もベレロフォンに銘じ、２人と２機で砂煙に紛れたキメラ―ιを探す。
「いた！」
　流石に大きさもあってすぐに見つかるも、その時には既に蛇の尾を立てていた。
「喰らえ」
　一瞬の雑音。だが、羽ばたきにより先ほどよりも強力な音波が、フィールドいっぱいに広がっていた。
《っ、こいつはちぃと手ごわいニャ……》
　スカルブーティが強風と共に放たれた音波に対し、被った帽子のつばを持ったままごちる。それでもあきらめないのは、相棒たるナオの視線があるからだ。
（今、喋った？　しかもちょっとダンディなのに『ニャ』って……かわいいわっ）
　……まぁ、ナオはナオでスカルブーティが話す言葉にちょっと口元を綻ばせている。

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