携帯戦記カプセルギア　外伝　ダンサーズ・クリスマスキャロル！｜リアクション

携帯戦記カプセルギア　外伝　ダンサーズ・クリスマスキャロル！

　――ただいまより、レイドバトルを開始します。参戦希望の方は……。

「レイドバトル！？」
「これはもう参加するしかないでしょ？　だってレイドバトルだよ!レイドバトル！　ネトゲにおける魅惑のコンテンツ……まさにお祭りだよこれは！！」
「ネトゲでの魅惑のコンテンツであり、眼が死ぬあれ……？　」
　仲良しコンビで遊びに来ていた桜庭円と白真白は放送内容に目をキラキラさせて頷き合う。そして「まって真白ちゃん！　エナドリキメるんで！！」「円ちゃん、私の分のもおねがーい！」とか言いながら軽食ブースの奥にあったエナジードリンクが入ったドリンクケースへ向かう２人。それにしてもエナドリキメてやるものか否かについては……今は突っ込まないでおこう。
「うふふ、……軽く遊んであげる♪」
　そういうのはスピカ・フォーツ。傍らには、仲の良い鷹司凜太郎の姿もある。2人はデートがてらこのイベントに足を運んでいたようだ。
「スピカ君、気合十分だね。実は僕もちょっと楽しみなんだ」
　それは彼女と一緒だから、かな、と内心で笑いながら彼女の手を取り受付に向かう。
　２人が受付にくると、見覚えのある少年が駆け寄ってきた。固めの黒髪を短く切った、牛瀬　まことである。担任の息子である、と知っているスピカは小さく笑った。
「久しぶりやね！　スピカさんと凜太郎さんもレイドバトルに？」
「うん。おたがいがんばろうね」
　スピカの言葉に、まことは元気に頷く。と、傍らにはスピカのクラスメイトである真白の姿が。友達の円も一緒だ。
「やっほー☆　なんとなーくスピカちゃんが来てる気がしたんだよねー。参加するんでしょ？」
「勿論」
　真白の問いに、楽し気に答えるスピカ。円と凛太郎も気合十分なようだ。それはまことも同じで目を輝かせている。
「それじゃあ、受付しようか。こっちみたいだ」
「おー！　どんな相手でも頑張るでーっ！」
　凛太郎はそういって少年と３人の乙女をさりげなくエスコートする。元気にこぶしを振り上げ、意気込みを見せるまことの姿を、高校生組は微笑ましく思った。

　的子とナオが受付をしたところで、参加者が締め切られる。的子は、仮面をつけ受付に立つ歪屋　チヒロを見、過去の事を思い出した。チヒロに「自分たちを壊せ」と言ったカプギアたち。そして、苦渋の末己のカプギアを床に叩きつけたチヒロ。その横顔が、妙に脳裏に残っている。
（今回の相手……もしかしてこの前のギアさん達、だったりする？）
　的子が僅かに考えていると、チヒロは「お久しぶりですね」と口元に笑みを浮かべて一礼した。
「心優しいあなたの事だ。ギアの事を思ったのでしょう。……残念ながら前回の彼らではありません。彼らは新しいパーツを開発中でしてね」
　チヒロが穏やかに言う傍ら、ナオは少し寂しそうにみえた的子の様子に、２人の言う『前回』がちょっと気になる。だが、気を取り直してチヒロと向き合った。
「レイドバトル、面白そうね。楽しみよ」
「えぇ、決して退屈はさせませんよ」
　チヒロはそう言うと、「どうぞこちらへ」とバトルフィールドへ案内してくれた。ナオは自分の横に小柄な女の子、的子の横に小学５年ぐらいの男の子が付いたのを見た。
「お！　的子ちゃんとナオくんも来てたん？　今日はよろしゅうな」
「うんっ」
　にっ、と笑うまことに、的子が笑顔で頷いていると、かたん、と音がしてネオムが姿を現した。それに口元がゆるむ的子。ちらり、と周囲を見ると……参加者のギアたちが、一斉に動き始めたようだ。

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