ねこじま魔法少女大戦３（ドライ）～聖なるコケシ攻防戦～｜リアクション

ねこじま魔法少女大戦３（ドライ）～聖なるコケシ攻防戦～

【ここからが色々と本番です】

　神殿内は何重にも張り巡らされた回廊と幾つもの小部屋で構成されており、その中心部に祭殿が存在する。
　つまり、祭殿に向かうためには迷路のような神殿内を歩き回る必要がある。
　例え、魔法少女達でもここは普段は神聖な領域ゆえに立ち入り禁止となっているがゆえに、誰も近道を知るわけがなかった。
　……ただひとり、先程、祭壇で戦闘を行ったあいつ以外は！
「ふふ、これで良しっと」
　黒き魔法少女Noir（ノワール）は、自分だけにしか見えない魔法塗料で目印を柱に描きながら周囲を探索していたのだ。
　もとより、彼女は御神体の警護を命じられた隊長格。
　他の魔法少女たちは先刻の戦闘で惜しくも『葉っぱ一枚』となって星空のお星様になってしまった。
（忍び込んだニンジャも『葉っぱ一枚』すら残さずオタッシャしてしまった）
　あの場から逃げ延びたノワールただひとりが、祭壇までの道のりをほぼ完全に把握している魔法少女であった。
「それにしても、こうも広いと援軍の魔法少女やニンジャとも遭遇しないわね。仕方がないわ。一度、祭壇へ戻ろうっと」
　やむなく来た道を戻るノワール。
　既に祭壇へ仲間や敵が到達していることも考えられる。
　そう彼女は踏んだからだ。
　だが、彼女が祭壇で目の当たりにしたのは、黒紫色の冒涜的な怪物だった。
　すぐさまノワールは無詠唱魔法陣を起動させて臨戦態勢に入る。
「な、なによ！　あんた！　ニンジャ！？」
「ラブさんだよーん！　怖くないよーん！」
　触手をくねらせながらラブはめっちゃウェルカムスマイルで出迎えた。
「いやいやいや、ＳＡＮ値がごっそり削られそうな姿で言われても説得力ゼロなんだけど！」
「ひっどいなぁ！　ボクだって立派な魔法少女だよ！　魔王マーラ様の眷属なんだから！」
「魔王マーラ？？　なんなのよ、それ？？　マーラって……、ちょ、馬鹿じゃないの！？」
「おやおや～？　顔が真っ赤だよ～！？　やっぱ赤面ゴスロリ小学生は最高だぜ！！」
　ニヤニヤするラブ。
　ノワールは耳年増なお年頃だった。
「うっさい！　アンタみたいな魔法少女がいてたまるかー！」
　ノワールは自身の身の丈以上の巨大なチェーンソー剣を具現化させると、自己強化魔法を無詠唱で起動させた！
「本能が告げているわ、アンタは『ヤバイ』って！！　だから殺すッ！」
　チェーンソーエッジが爆音を立てて回転！
　ノワールの狂戦士めいた戦闘意欲に火が付いた！
「先手必勝よ！　まずは、そのうざい触手を全部斬り落としてあげる！」
「やってみろよオラァン！」
　ラブは咆哮と共に全触手をノワールへ向けへ包囲開始！
　ノワール、至近距離から得物をぶん回し、彼女を叩き潰そうと振り下ろされた触手を真っ二つに切り裂いた！
　そのまま根元に肉薄し、刃を目の黒紫の皮膚に押し当てる！
「きゃははははは！　まっずそうなその触手、まずは一本いっただき～♪」
　軟骨と神経ごと肉をチェーンソー剣が断ち切り、触手が祭殿の床にだらしなく転がった！
　だが、切り落としたその場から再生を始める触手！
「らーぶらーぶ！　ああ、斬られてもまた生えてくる！　生きてるって素晴らしいや！」
「なに、気持ち悪いコメントしてるのよ！？」
　ズタズタに切り裂いても瞬時に元通りになる触手に、ノアールは悪戦苦闘！
　その背後から、ヤガ＝ミンが近付いてきたぞ！
「やぁ、ノアール。君にはやはり『黒』がお似合いだね」
　ヤガ＝ミンの手には、黒光りするアルカイックスマイル御神体！
　ヴィィィィン！　ヴィィィィン！　ヴィィィィン！
「ちょっ、なんでコケシが何本もあるのよ！？　って、しまった、目に入って……！」
　聖なるコケシから発せられる強制魔導行動コードにより、ノワールの性癖が暴露される！