ぼくのわたしの好きな時間｜リアクション

ぼくのわたしの好きな時間

　今日は楽しい日曜日！
　楽しみにしていたテレビを見終わった東条あんずは、水筒を準備し、帽子を被り、リュックを背負って、
「よーし！　チビ、おまたせ！　今日は公園で遊ぶぞー！！」
　と、元気良く宣言した。
　既にそわそわとして待っていたゴールデンレトリバーのチビが、尻尾をぶんぶんさせる。
「うんうん、約束したもんな！」
　いってきまーす！　と、ぴかぴかの声でご挨拶して、あんずははしゃぐチビと一緒に家を出る。
「それじゃ、公園まで追いかけっこだぞー！　よーいどん！」
　待ってました！　とばかりにチビが駆け出すが、勿論、あんずだって負けてはいない。
　１人と１匹は、元気いっぱい、一緒に公園へと駆けていった。そして。
「と、う、ちゃーく！」
　えいっ！　とジャンプして、両足で公園の地面を踏むあんず。
　チビが公園へと足を踏み入れたのも、それと殆ど同時だ。
「うーっ、今日も引き分けだったな！」
　おん！　と嬉しそうに吠えるチビのことを、あんずはわしゃわしゃと撫でてやった。
「よしよし、じゃあ今日は何して遊ぶか？　今日持ってきたのは……」
　ボール、フリスビー、それから縄跳び。
　リュックから次々飛び出す遊びの道具をくんくんとして、チビは、
　――つんっ！
　と鼻先でボールを突いて転がし、あんずを見上げた。
「お！　今日はボールの気分なんだな！　じゃあ、ボールで遊ぶぞ！」
　あんずがボールを構えれば、待ちきれない！　とばかりにチビが跳ねる。
「えーい！」
　あんずが勢いをつけて投げたボールは、飛んで、飛んで――、
「わ、ナイスキャッチ！」
　地面に落ちる前に、ぱくっ！　とチビの大きな口に咥えられた。
「おいでおいでー！　よしよし、偉いぞー！」
　ちゃんとボールを咥えたまま戻ってきたチビを、あんずはぎゅっと抱き締めた。
「えへへ、そんなにしっぽ降るとちぎれちゃうぞー！」
　よーし、もう一回だー！　と、あんず達のボール遊びは、まだまだ続く。

「ふーっ、楽しかった！」
　公園のベンチに腰を下ろして、あんずは光を散らすような声を零す。
「今日はお天気が良いから、ちゃんと休憩しなきゃダメなんだぞ！」
　荷物から水筒を取り出して、中身をごくごくと喉に流すあんず。
　チビも、「ちゃんと飲むんだぞー！」と容器に入れてやった水を、美味しそうにぺしゃぺしゃ飲んだ。
　喉を潤し終えたあんずは、また、荷物をごそごそ。取り出したるは、
「えっへん！　今日はなんと！　お弁当を持ってきたんだぞ！」
　包みを開けば、現れるのは、いかにも美味しそうなサンドイッチだ。
「うちはこれだぞ！　……あ！　匂い嗅ぐだけだぞ！　食べちゃメ！　なんだからな！」
　興味津々で鼻をひくひくさせていたチビが、お行儀よく座り直す。
　うんうん、偉い偉い！　と、あんずはチビの前に、ガムのおやつを差し出した。
「ちゃーんとチビの分もあるんだぞ！　お手！　おかわり！　よし、はいどーぞ！」
　チビが、ガムをがじがじする横で、あんずはサンドイッチをもぐもぐと食べる。
　気持ち良く晴れた空を、雲がふわふわと流れていって――。
「良い天気の時にお外で一緒にごはん、楽しいなー！　今度は家族全員で来たいな！」
　チビも来たいよな！　と笑顔を向ければ、わん！　とチビのお返事もきらきらと。
「よし、食べ終わったらもう少し遊ぶぞー！」
　チビが楽しげにもう一声吠えるのを耳にして、あんずは頬をゆるゆるとさせた。

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