あなたの秘密を教えて｜リアクション

あなたの秘密を教えて

　ねこったー情報：変化なし

　その場には和やかな空気が流れようとしていたが、それをよく思わない者もいた。
「「何、綺麗にまとめちゃってんのかなあ」」
　いつの間にやら、モップを携えた常盤四月×2が下駄箱の上で仁王立ちしていた。
　その上から四月は秘蔵のどろっと特濃BL漫画の数々をばら撒く。
「こ、これは……まあ！　鬼畜ショタ×眼鏡オヤジですのね！　無駄毛までしっかり描写されております！　素晴らしいです！」
　他の者達は混乱していたが、きららはそれを読んで大興奮していた。
　あくまでも、特濃ミルクより更に濃く練乳のように濃厚で強い粘り気を持つ作品があっただなんて、といった知識が増えたことによる興奮である。
　腐海に手を出してはならぬ、とどこかの誰かが言っていたのを、きららは知っている。
「「出会う場所が違っていたら、アナタとは分かり合えていた気がします。残念でなりません」」
「わたくしは今からでも分かり合えると思っています！」
「そうはいきません」「私の秘密、知っちゃったでしょ？」
　四月はきららの頭部をロックオンする。
　あくまでも記憶抹消のための攻撃。しかし手加減はしない。
「「さようなら、先輩！」」
　モップがきららの頭部に当たるか否かといったところで、その場にいた全員は強烈な光を見た。
　そしてそこにいた全員が、何が起こったのか把握しきれなかった。

　みんなまとめて吹っ飛んでいたのだから。

　死屍累々。実際は気絶しているだけであるが、しかし燦々たる状況だった。
　そんな中で、一人だけ立ち上がる者がいた。
「やったか！？」
　その者の名は伊賀解理。
　そう、先ほどの光は、解理のろっこん『代理告白』によるものだった。
　解理は焦っていた。きららの動向がわからないことに、とにかく焦っていた。
　きららの姿をようやく見つけた時、そこには他に群がる人がたくさんいて、時間稼ぎをするどころではなさそうだった。
　解理のろっこんの発動条件は、恋愛対象として好きな相手を思い浮かべること。
　彼との関係を壊したくない。
　その一心で放たれたそれは膨大なエネルギー量を持ち、その場にいた全員を吹っ飛ばすほどの威力となった。
　それは全てを有耶無耶にするに足るほどの威力。
　問題となっていた件はいよいよ片付こうとしていたのだが、それすらも有耶無耶にするほどの。

　旅鴉月詠は、絵を描きながら少し遠くで経緯の一部始終を静観していた。
　スケッチブックには、林檎の絵が描かれている。
「自分の欲望の報いを受けたんだ。こうなって当然だったろうね」
　気絶しているきららの姿を見て、呟いた。
　そこにひょっこり、いつの間にやら姿が見えなくなっていた添木千唐が現れる。解理のろっこんに巻き込まれることもなく、無事だったようだ。
　きららのポケットから零れ落ちていた手帳とレコーダーを自分のポケットにしまい込む。
　それからきららを担いでどこかに行こうとした。
「どうする気だ？」
　月詠は聞いた。
「頭を打ったかもしれないでしょう。保健室に連れて行きますよ。一応ね」
　そう言って、千唐はその場を去った。
　道中、またどこかにメッセージを送る。

　ねこったー（DM）情報：今からそっちに行く。

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