やきゅうしようぜ！！｜リアクション

やきゅうしようぜ！！

　＜２回裏：のののナインの攻撃＞
　
　打順は６番、響蒼留人から開始。
「うわあ、やっぱり苦手だ、あのピッチャー！」
　本気になったキャサリンは、初めからろっこん『ラブ・スナイパー』を多用。
　謎のフジコオーラに当てられた響は、全く打席で動けず見逃し三振。
「ご、ごめん、みんな。でも、あれは無理……！」
　しばらくベンチでガタガタ身震いする響だった。

　７番、羽生碧南の打席。
「なんか序盤だけど盛り上がってるね」
　羽生は、この中で唯一の『ひと』である。
　つまりののこを除けば、特殊能力ゼロで挑む一般人。
「トンデモ投球とか魔法みたいな打法が繰り広げられてるけど、私はそんなの出来ないよ……」
　でも、と羽生は下唇を噛む。
「野球もバスケも突き詰めれば球技！　私だって出来ない筈はないわ！」
　彼女の頭の中で、部活モードが発動！
「キャサリンさん。貴女の魔球、簡単に通用するとは思わないで！」
　はったりでもいい。
　まずはプレッシャーを与える！
　怯んだ相手は必ずミスを犯す。
　そこを逃さず、チャンスを掴む！
「いい気になるなヨ、小娘ガー！」
　挑発に乗ったキャサリンがろっこん魔球を繰り出す！
「３球で終わりにシテヤンヨー！」
「はぁぁぁぁ！」
　羽生が振り抜く！
　うねり荒ぶる白球は叩きつけられ、レフト方向へ切れてゆく！
　ファウル！
　羽生は確信する。
　ジグザグにうねるボール。
　あれはバスケのドリブルと一緒！
「なぁんだ、バスケとおんなじだ」
　羽生、まさかの開眼！
「キャ、キャサリン！　落ち着くんだ！」
　捕手の喜一さんがタイムを掛けてなだめるも、キャサリンの苛立ちは収まらない。
　その後も羽生は粘り続け、10球目。
「そこっ！」
　甘く入った高めの球を叩き切るようにバットの先端に打ち付ける！
　だがこれは距離が伸びない！
　カバーに入るのはショートの椎井！
「この球なら、余裕で捕れるわ」
　難なく捕球してツーアウト。
　だが、羽生の粘りが、キャサリンのコンディションを大きく乱した。

　だが８番の優木は打席で振るわず、三振となってしまった。
　ここでスリーアウト。
　３回の攻防へ移ってゆく。