Ｏｈ！イエス！めいっぱい本当のジブン！｜リアクション

Ｏｈ！イエス！めいっぱい本当のジブン！

　
「ちひひー。ダークネコジマ・ハイスクールのお空なの～♪」
　空からふわふわと舞い降りるのは橘明里……ではなく超生命体「ＭＯ－零Ｂ」の『Ａ－Ｋ：Ｒ　エンジェルバージョン』。
　天才科学者ネコツッチ・ノーコ博士によって正義のロボットとして開発された、重厚で無骨なボディ（重量１トン）。
　彼の娘であるノコノッコ・ノーコ（５歳）によって施された、全身ピンク色のペイント（ムラあり）。
　この超アンバランス生命体が灰色の空を舞う姿は鮮やか、というより完全に浮いていた。
　しかし、Ａ－ＫＲはどこ吹く風。今日もピンクに燃える正義のハートを胸に秘め、ヴィランを倒すべく飛んでくるのであった。
　が、
「うそー。なんかやばいことが起きてるなの！」
　ハイスクールの校舎が真っ二つに裂け、もくもくと煙が広がっていく。
　スコップがピューッと飛んでは校庭に突き刺さり、穴だらけに。
「あ！　変な格好させられてる可哀想な人もいるなの！」
　と慌てて着地すると、可哀想な人は必死に眼鏡を探している。
「眼鏡、眼鏡……」
「おでこにあるのは違うなの？」
「あったー！」
　ついに、眼鏡屋さんがスーパー・ヒーロー・眼鏡を装着！
「変身！　『眼鏡マン』！」
「センス……」
　Ａ－ＫＲに仕込まれた「ちょうすごいコンピュータ」は、眼鏡マンのネーミングセンスに暴走開始。
　叩き出した謎の計算により、校庭のとある一角に穴を掘っていく。
「スコップが役立つなのー！」
　一方、爆発炎上する校舎からは、次々とヒーローやヴィランが脱出してくる。
　しかし、彼らは一様に混乱していた。
「道徳の授業を始めます！」
「パンプキンパイをドーゾドーゾ」
「コタツから出たくない～」
「そろそろエンディングに向かうのがパターンよ」
「もっとポニテを～！」
「やっぱり恥ずかしいにゃん」
「スコップは無敵っちゃ！」
　ドテテテテテテ。
　たしかに、スコップは無敵。
　みんなは、Ａ－ＫＲが掘った穴に落ちてしまった……。
「ちひひー。眼鏡マンも恥ずかしいからどうぞなのー」
「や、やめ――」
　ドン。
「眼鏡、眼鏡は……まだヒーローとして何もやってないのに～」
　穴の中では、ただの眼鏡屋さんに戻った恥ずかしい格好の男を、パンプキンパイを頬張るにゃんこたんが慰めている。
「僕の守り神オミヤサマーの心の声を聞けば、眼鏡がどこかわかると思うにゃん」
　おなかをなでなですると、心の声が聞こえるという。
　眼鏡屋さんがなでなでしてみると、
「うふふうふふ、くすぐったいにゃん～」
「ほ、ほれほれー」
「うふふうふふ、恥ずかしいにゃ～ん」
「ほれほれー」
　すると、奇跡は起きた！
『何をやってるのにゃー！』
「オミヤサマー！」
「眼鏡、眼鏡はどこに……？」
『うむ。教えてせんじよう。お主の眼鏡は、ドクター・バタフライ・ワイズマンが持っているにゃ！』

　え、誰？

『お主らと常に一緒におったろう』
　と言われて、穴の面々は大混乱。
「赤い服かにゃ？」
「いや、ストライプじゃなかった？」
「やたらツッコミを入れていた女の子？」
「ああ、胸が――」
　そのとき、穴の上から少女の声。
「先生！　言って良いことと悪いことがあると思いまーす」
　崩れた校舎の砂ぼこりの中、かすかに見えるのはかの少女。屋敷野梢……ではなく『ドクター・バタフライ・ワイズマン』。
　ツッコミ不在のこの日、ひとりでツッコミを入れてきたのがワイズマンだった。
　彼女はとある研究のため、ひたすら彼らを観察していたのだ。
　最後に観察したスーパー・ヒーロー・眼鏡をポイッと投げ返すと、ゼンラーニ先生が受け取って顔を出す。
「呼びましたか？　先生です」
「えっと呼んではないですねー」
「いいですか、どのような胸でも、ヒーローでもヴィランでも、一糸まとわぬビューティフルなボディこそが正義です！」
「はい、どうも―。私は研究に忙しいので失礼しまーす」
　ワイズマンはきびすを返し、自分の研究室へと戻っていく。
「あ、あの……ちょっと待ってなの」
　唯一穴に落ちていなかったＡ－ＫＲがひょこひょことついていく。
「あの……何を研究してるのなの？」
「それは、この世界が続けばいつかわかることでしょー」
　それは、ダーク・ネコジマシティのことなのか、それともらっかみ！が続けばということなのだろうか。
　超生命体ロボットのＡ－ＫＲには、いろいろなことがわからない。前のジブンも、天使か人間かわからない程だから、当然だろう。
「あ、あの……では、あなたはヒーローなの？　ヴィランなのなの？」
　ワイズマンは立ち止まって、全身ピンクのＡ－ＫＲボディを見つめる。
「ヒーローか、ヴィランか、それは誰にもわからないんじゃないでしょーか。何かわかるとしたら、彼女でしょー。残念ながら、死んでしまいましたけど……」
　そして、ワイズマンは静かに去っていった。

　ふがっ。

　その頃、桜花寮の庭では野々ののこが目を覚ました。
「ふがぁ～。よく寝た……なんでこんなところにいるんだっけ？」
　本当のジブンは誰にもわからない。
「ま、いっか」
　目を覚まして、鏡を見て、また寝子島での新たな１日を始めよう。

＜おわり＞

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あとがき

担当マスター： project nanica
ファンレターはマスターページから！

こんにちは、とある運営部スタッフです。名乗るほどの者ではござーせん。

そんなこんなでエイプリルフールのヘンテコ世界、終了です。
ウソの世界のＰＣさんで、しかも１００％アドリブによるリアクションということで、
意に沿わない内容となっていましたら、ごめんなさい。

慣れない作業はやはり大変で、お時間ぎりぎりまでいただいてしまいましたが、
元のキャラクターがみなさん個性的で、勝手ながらいっしょにワイワイやってる気分を味わうことができて、
とっても楽しく、充実した時間を過ごすことができました。

今回は参加してくださった方も、参加できなかった方も、本当にありがとうございました。
なお、個別コメントは控えさせていただきました。

これからも、らっかみ！をどうぞよろしくお願いします！

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