Ｏｈ！イエス！めいっぱい本当のジブン！｜リアクション

Ｏｈ！イエス！めいっぱい本当のジブン！

　
「ここは、ダーク・ネコジマシティ……！」
　ののこ……ではなく『ラッカミガール』は、廃墟と化した桜花寮の屋上に立っていた。
　見えるのは、あちこちから煙が立ちのぼり、くすんだ灰色に染まった町並み。
　聞こえてくるのは、銃声、そしてネコジマシティ・ポリスの止むことのないサイレン。
「必ず平和を取り戻す！」
　彼女は自覚した。本物のジブンとは、すなわちヒーロー！
　そのとき、喧騒にまぎれて遠くから聞こえてきたのは、ダーク・ネコジマ・ハイスクールの始業のベルだった。
　マントを翻して壊れかけのフェンスに飛び乗ると、
「Ｏｈ！　イエス！　今行くわ！」
　ラッカミガールはフェンスを蹴り、空を飛ぶ。
　マントがフェンスに引っかかっているとはつゆ知らず。
　ひゅーーー。
　ドン！
　落下するのは趣味みたいなものだ。マントを失ったラッカミガールは、そのまま庭へ。
　舞い上がった砂ぼこりがおさまると、そこにはもはや動くことのないラッカミガールが大の字に横たわっていた。
　その様子を目撃、いや観察し、ノートをとる少女の姿がある。
「ふむふむー。残念だけど、これもまた私の研究材料になりましたねー」
　彼女はノートをパタンと閉じると、ハイスクールへ向かう。
　ラッカミガールのアホ毛が、風にそよいで揺れていた。

「ふふ。子猫ちゃんたち、早く席に着きなさい」

　ダーク・ネコジマ・ハイスクールのとある教室で、教壇にひとりの先生が立っていた。
「早く着かないと……脱いじゃいますよ！」
　華麗に教卓にのぼって脱ぎ出すのは、アケーチ・タッマーキ……ではなく『ゼンラーニ・パンストイッチョソルジャー』。
　清く正しい変態であった彼は、狂科学者リー・エナバータの実験によって、教育熱心な変態ヴィラン先生と化したのだ。脱いじゃいますと生徒たちを脅している彼だが、既に脱いでいるのはどういうことか。
　キラーン☆
　大切なところが光り輝けば、授業開始である。
「ズバリ、今日の授業は『道徳』です！」
　この先生にだけは教わりたくない！　と思った読者諸兄は正しい。
　しかしここはダーク・ネコジマ・ハイスクール。いたって普通のことである。
「全裸先生！」
　教室の後ろでふんぞり返っていたヴィラン生徒の鎌八まもる……ではなく『ブラック・ポニテーノ』は手もあげずに口を挟んだ。
「ポニテ君ですね。なんでしょう？」
「ヒーローの連中が騒ぎ出すし、服を着てみたらどうかなと思って」
「……わかりました。着ましょう」
　全裸先生は大切なところに申し訳程度の布をかけると、
「では、授業に戻ります」
　そうして黒板に書いたのは、次の設問だった。

『信号が赤になった交差点を、大金を持ったお婆さんがゆっくり歩いている、その時あなたはどうする？　
　１．大金をいただく
　２．お婆さんを車で轢く
　３．全裸になる』
　

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