Ｏｈ！イエス！めいっぱい本当のジブン！｜リアクション

Ｏｈ！イエス！めいっぱい本当のジブン！

　
　にゃんこたんの鼻先をかすめてズズーンと床に突き刺さったその刀剣は、よく見るとスコップだった。
「オラの前で、ヒーローごときが調子に乗るなっちゃ」
　ヴィラン生徒の鈴野海斗……ではなく破壊神『ビバリーヒルズ・スコップ』がスコップを引き抜き、ぐるんぐるんとまわせば、ヒーローたちは圧倒されて動けない。
「オラには、誰も敵わないべ……見るっちゃ？」
　制服を脱ぐと、狂科学者リー・エナバータが丹精こめて作り上げたというグリーンに染まるサイボーグスーツを着込んでいた。
「オラのスコップは最強だべ」
　ジャキーン！
　肘を曲げると、そこからスコップが飛び出して、にゃんこたんの顔に向かってビューン。
「こわいにゃん！」
　にゃんこたんは間一髪かわした。
　その後ろにいたブラック・ポニテーノが「痛ッ」と声を出したが、今はにゃんこたんとスコップの攻防に集中しよう。
「オラのスコップは、あちこちに装備されてるっちゃ」
　ジャキーン！
　今度はお腹がパカッとあいて、そこからスコップがズキューン。
「あぶないにゃん！」
　猫型のスーパースーツは伊達ではない。にゃんこたんの体は、今は猫のように軟らかい。サッと体を曲げてよけることができた。
　後ろの方ではまたポニテが「痛ッ」と言っているが、気にせずいこう。
「オラのスコップ攻撃を避けるとは、ヒーローごときがなかなかやるっちゃ」
　向こうで仲間のヴィランが血まみれだが、気づいていないらしい。
「この程度、誰でも避けられるにゃん」
「たしかに、これまでの攻撃はそうだっちゃ」
　ブラック・ポニテーノは傷つきながらもポニテに夢中だ。
「ヒーロー猫め、今度のスコップは避けられるっちゃ？」
　両手の指先をにゃんこたに向けると、指が小さなスコップに変化して飛び出していく。
「くらうっちゃー！」
「にゃにゃー！」
　ザクザクザクザクザクザクザクザクザクザク。
「ブラック・ポニテーノさんはしばらく再起不能ですねー」
　少女のノートはもう文字がびっしり埋まってきていた。
　にゃんこたんは誰かが犠牲になってることには気がつかない。
「ヒーローの前では、この程度の攻撃は無駄にゃん！」
　やめてくれ。ブラック・ポニテーノのプライドはもうズタズタだ！
「んだば、しゃあねえな。オラを怒らせた奴は生かしちゃおかねえっちゃ！」
　スコップの頭がパカッと割れると、そこから無数の巨大スコップが噴火。
「くらえ、怒りのスコップ花火っちゃっ！」
　ドドドドドーン！
　スコップは教室を突き破り、柱を倒し、やがて校舎そのものを真っ二つに割っていく。
　ヴィランの暴走に、もはやヒーローには為す術もなかった……。
　

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