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●18日
青空に刷毛でさあっとなぞったようなすじ雲が美しい。
弥逢 遊琳
は柔らかい陽光の下、社の前でそっと手を合わせていた。
それは最近参道商店街に出来た、白木造りの小さな社。そこにおわすは音楽と学問の神様、弁天猫。寝子高の最高学年になった遊琳は、ここに学問と芸術成就のお参りに来ていた。
自分のためというようりも同期のため、というのが遊琳らしい。神様の前で頭を垂れ、その細いうなじにはらりと結び毛を添わせながら、遊琳は一心に祈っていた。
「……りんくん?」
突然耳を震わせた低く静かな声に、遊琳ははっと顔を上げた。神様が応えてくれたのかと思ったのだ。しかし社は何の変化も見られず、そもそも弁天猫は女性ではないか。遊琳はゆっくりと、声のした方を向く。その長い睫に縁取られた蜂蜜色の瞳が驚きに大きくなった。
「……静さん?」
京都にある美術館の学芸員である
服部 静
は、今日はオフだったためのんびりと島を訪れていた。
寝子高OBである静は、卒業してからもよく寝子島を訪れる。それは弟が現役寝子高生だという事もあるが、神さえも息づく、島のゆったりした時の流れが好きなのだ。それは彼の住む京都に通じるところがあるかもしれない。静は宿泊している旧市街の旅館を出、ぶらりと骨董品や古美術、古刹を巡ろうと歩いていた。
すると、参道商店街の一角でたおやかな人影が目に付いた。そこだけほわりと山吹のぼんぼりに照らされているような。
静は思わず足を止めてしまった。あの雰囲気には覚えがある。京都での思い出深い一時。
(そうだ、彼だ)
こんな偶然はあるはずはない。それでも、やはりこれは必定だったのかもしれない。静は柔らかく、けれども確信を持って声を掛けた。
「……りんくん?」
偶に言葉を交わした程度。お互い多くは語らなかったのに。何故か惹かれ合うように逢ってしまう。これも古からの縁か―――。
「久しいな。こうして逢うのはいつぶりだろう」
涼やかに笑う長身の静を見上げながら、遊琳はその蜜のような瞳を零れんばかりに大きくする。驚くほど素直に自分を見つめる遊琳に静は少し笑うと言った。
「そうだ、今から時間はあるか? 実は僕は九夜山に行こうとしててね」
「九夜山?」
夢から覚めたかのようにぱちぱちと瞬きする遊琳に静は頷いた。
「ああ。君も一緒にどうだ? できればもっと静かな場所で話したい」
静の淡く柔らかい灰色の瞳が細くなる。遊琳は吸い込まれそうに頷いていた。拒む事なんてあろうか。この瞳はあの頃と変わらず、僕の心を穏やかにする。
「……よかった。では、早速向かおう」
静はふうわりとその大きな手を遊琳の華奢な肩に置いた。
遊琳は静の横を不思議な心持ちで歩いていた。
懐かしい人。でも昔から、約束もなしに不思議に出会う人だった。お寺で。神社で。京都には何でも無い公園のように神聖な場所がたくさんある。その神仏の庭で落ち合うように逢っては他愛も無い事を話した。
燃えるような葉の下で、全てが夢みたいな中で。話しては別れていただけのあなたとの関係だったのに。
不思議な事に今僕はあなたに連れ出されるみたいに隣を歩いている。ここは寝子島なのに、あの時の続きを歩いているようだ。
曖昧になる。過去と今。寝子島と京都。現と夢―――。
九夜山の麓から乗ったロープウェイはゆっくりと2人を山の中腹まで連れて行く。降りた先は砂掛谷。そこから少し歩き緑の合間から湯煙を上げる小さな温泉街の一角に着いたとき、遊琳は思わず呟いていた。
「……静はんらしいわ」
「自然の中に佇む地蔵堂……1度見たいと思っていたんだ」
それは、寝子召地蔵だった。鮮やかな深緑に守られながら、古い地蔵が片目をつぶっている。遊琳は静の横顔を見上げながら、小さく微笑んだ。彼がここに来たいというのはとても静らしいと思ったし、だからこそ遊琳は彼と出会えたのだろう。この人の好きは、大体僕のそれだ。だからこそ彼の前では気楽でいられるんだ。
そんな事をぼんやりと遊琳が考えていると、静がその長い腕を頭上の木に伸ばした。
「おや、青もみじ」
その指の先には黄緑の葉が艶やかに輝いている。それを少し遠い目で静は見つめた。
「……もみじといえば、君と初めて出逢ったあの京都の紅葉を思い出すな。ここも秋には紅葉の色に染まるだろう……誕生日にいい景色を知ったな」
彼の言葉に錦絵のようなあの鮮やかな赤い過去へ戻りかけてた遊琳は、最後の一言で現実に帰ってきた。
「誕生日?!」
遊琳にしては珍しく大きな声が出る。おやというように静が片眉を上げながらも微笑んで言った。
「ああ、今日は僕の誕生日でね」
(そんな……!)
「さっきの参道商店街にいる時に言うてくれはったら……!」
遊琳にとって静は数少ない心許せる人物だった。そんな大切な人の誕生日を知ったのに、こんな辺鄙な場所で何ができるというのだろう。遊琳は感情の赴くまま言葉を発していた。
静は困ったように、でも嬉しそうに笑った。
「ふふ、君の驚く顔は本日2度目だな。僕は君との再会だけで十分なのだが……」
「それでは、いやや」
遊琳は幼子のように首を振った。
何を言うてるんだろうこの人は。逢うだけでええなんて七夕には早いし僕は座敷童やない。
大体、先月のこの人の弟もそうやったけど―――兄弟揃って自分事への関心、執着心が浅い!
(お祝いさせてほしい人やのに……あほ)
遊琳は拗ねたように下を向く。するとぽんと優しくその頭が叩かれた。
「……なら、1つ僕の願いを聞いてくれるだろうか」
「僕に叶えられることやったら、何でも」
遊琳は顔を上げると、必死に静の瞳を見つめる。そのひたむきな瞳を静は受け止め、静かに言った。
「君が『此方』にいる間だけでもいい。僕の……俺の弟を宜しゅう頼む」
……君の事は、弟からよう聞いてた。
俺と逢うてた頃とは雰囲気が大分違うてたけど……すぐに君やときづいたよ。
遊琳の柔らかい頬に静は慈しむように触れる。その大きな掌に頬を寄せ、遊琳は吐息混じりに答えた。
「……兄いうんは難儀やね。……ええよ」
「ありがとう」
静は満足そうに言うと、笑った。
「君とは多く語りたいと思うてた。……これも誕生日祝いになっとるよ」
山深い温泉を歩きながら、遊琳の横で静は言う。その陽光に照らされる笑顔を見ながら、遊琳は5月の風に言葉を乗せた。
「……ほんに困ったお人やわ」
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ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
30人
参加キャラクター数
30人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年03月15日
参加申し込みの期限
2018年03月22日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年03月22日 11時00分
参加キャラクター一覧
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