【中間テスト】モヒカン悪魔はテストが嫌いなようです。｜リアクション

【中間テスト】モヒカン悪魔はテストが嫌いなようです。

　八神は勉強が好きだ
　知識を手にするのが好きだ
　知識で遊ぶのも好きだ
　難しい問題を論理立てて解くのが好きだ
　美しい回答は眺めているだけで気持ちが良い

　異国の言葉を繰るのが好きだ
　日本の言葉も勿論好きだ
　古い時代を振り返るのも好きだ
　テストは、力を発揮する自己確認の場で表現の場
　なのでテスト前日がループすると……？

「……最高だ！　存分に勉強が出来るのはとても嬉しい！」
　とても活き活きとしてらっしゃった。
　そりゃそうだ、７日間も誰にも邪魔されず知識を頭に詰め込めたのだから！
「だが、中間テストが来ないと実力を発表する場がない。これは詰まらんな」
　知識欲だけでは満たされない八神は、やむなく神魂事件の解決に乗り出そうとしたその時！
「こ、ここに隠れるぜ！」
　ジェロニモが図書室へ飛び込んできた。
　八神、瞬時に状況判断。
「やあ、君がジェロニモかな？」
「げえ！　テメーもあいつらの仲間か！？」
「仲間？　俺は此処で勉強していただけさ」
　ほら、と化学の教科書を見せる。
「ちょうど化学式の勉強をしていたんだ」
「ベ、勉強なんてダッセー！　サボってスマホでソシャゲしてた方がおもしれーぜ！！」
　ジェロニモが出ていこうとしたその時、八神が悪魔の肩をむんず掴んだではないか。
「聞き捨てならないな。勉強もゲーム感覚で覚えることができる。ほら、例えば……」
　八神の解説は分かりやすく、まるで小さな子に語り掛けるように優しい口調。
　
　数分後。
　
「……と、まぁ、こんな感じだ」
「スゲェ……、化学式、パネェ！　マジ魔法じゃねーか！」
　ジェロニモ、すっかり興味津々の様子。
「ジェロニモ、お前は遊びたいって言っていた。楽しい事が好きそうだな。悪魔の世界は退屈だったのだろう。刺激が足りなくて、そんな恰好や言動をしたのか？」
「そうだよ、わりーかよ！　ケケケケ！」
　悪びれないジェロニモに、八神は握手を求める。
「俺は不良じゃないが、友達になれるはずだ。勉強の面白さ、さっきので分かっただろ？　物騒な遊びより、もっと面白い事を教えてやるよ」
「マ、マジか？　いまの魔法よりスゲーこと、お前は知ってるのか？」
「当然だ。色々教えてやれる。それに勉強はダサい事じゃない。勉強が出来れば、強くなれる」
　八神の言葉に、信じられないという顔をするジェロニモ。
「本当だぞ？　知識は武器になる。ジェロニモは、強くなりたいか？」
　その問いかけに悪魔が答えるまもなく、背後から強襲する龍目と水上に取り押さえられる。
「さあ、早く時間を進めなさいよ！」
「勉強する奴なら少し時間が伸びるのは嬉しいかもしれねえが、いくら時間が延びたってやらねえ奴は遊ぶだけだろ！」
「龍目先輩、その通りです」
　八神がジェロニモを引っ張り込むと、ニコリと微笑む。
「みんな、一緒に知識を付けて強くなろうか？」
　その有無を結わさぬ笑顔をみた２人と悪魔１匹。
　口を揃えてこういった。

「アッハイ！　ガンバルゾー！」

「……で、今に至るのか」
　羽生は解せぬという顔のまま八神の講義を受けていた。
「いやー、勉強てやべーな！　俺、これから沢山勉強してトーダイってとこを目指すぜ、ケケケケ！」
「悪魔はこっちの大学通えないわよ？」
「そんなぁ～！」
　水上の言葉にジェロニモは肩を落とす。
「八神が家庭教師をやってくれて助かったぜ。悪魔探しばっかで俺、やっぱ勉強すればよかったなって後悔していたからな」
「お役に立てて光栄です、龍目先輩」
　上機嫌の八神塾長は、この後もテキパキと受講生に指導をしていく。
　勉強に目覚めたジェロニモは、約束通りループを解除。
　４人は、『７日ぶりに』中間試験当日を無事、迎える事が出来たとさ。

＜了＞

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あとがき

担当マスター：焼きスルメ／リルカ
ファンレターはマスターページから！

この度、代筆を務めさせていただきました乾物こと焼きスルメです。
奇しくも、去年（※らっかみタイム内）の中間テスト前日は乾物が担当したシナリオでした。

今回は４名様ということで、出来る限り目一杯動かすように心掛けてみました。
ループする日数が１日だけとは誰も言っていない。いいね？
リルカマスターも『テスト前日が何度も繰り返し、テスト当日がやって来ないという事態』と言っているので！

では、またご縁がありましたら、お会いしましょう。
乾物こと、焼きスルメでした。
焼きそばパンうめぇ！（モグモグ）

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