【中間テスト】モヒカン悪魔はテストが嫌いなようです。｜リアクション

【中間テスト】モヒカン悪魔はテストが嫌いなようです。

◆タイムリープ７日目

　いやいやいやいや。
　ちょっとこれ、ループしすぎじゃない？
　羽生は桜花寮の自室で遠い目で窓の外を眺めていた。
「まだ解決できていないの……？　流石に苦手科目の対策はばっちりなんだけど」
　最初の３日間くらいは物凄くやる気を出して勉強していた。
『１日がループするってことは、もう１日分猶予が与えられてッて訳だから……、もう一度テスト勉強をしようっと。ちょうど不安科目もいくつかあったし！』
　だが４日目を過ぎてから漠然と不安が込み上げてきた。
『苦手科目の数学はもう一度見直しで重点的にやるとして、鬼門である音楽は何度も抜かりなくやった。１年二学期の中間、同三学期期末で赤点を取り追試を受ける羽目になったから、それはもう必死に！　……けど、なんでテスト当日にならないの？』
　やる事がないので、全科目の総復習も終えてしまった羽生。
　……ちょっとくらい、封印していた乙女ゲームに手を出してもいいかな？
「ダメダメ！　こういう誘惑があるところで勉強するからいけないんだ！」
　羽生は意を決して、制服に着替える。
「場所を変えよう。今日はもう一度、苦手科目を手早く確認して、ほかの科目も集中してやりこめば、明日からのテストはきっと大丈夫！」
　そう口に出したら、勉強に熱が籠る気がしてきた。
　さぁ、カバンを持って、学校の図書室へ向かうとしよう。

　羽生が図書室に到着すると、異様な光景が展開されていた。
「ああ、なんて、なんて至福の時間なんだ……！」
　八神修は笑顔でホワイトボードで英文法の解説をしていた。
「接続詞の『ＯＮ』は上に乗っているから使うんじゃないんだ。目的のものに設置していれば、上下左右、何処でもＯＮを用いるんだ」
「さすが八神、判りやすい解説だぜ！」
　龍目が頷きながらノートに書き込んでいる。
「八神先輩、ここの英文法の和訳のコツを教えてください」
　水上が八神へ質問すれば、それに八神は適切丁寧に応えていた。
　だが羽生が最も目を疑ったのは……！
「すっげぇ！　勉強ってこんなに楽しかったんだな！　ケケケケ！」
　……ジェロニモが何故か、皆と同じ机で目を輝かせながら勉強に取り組んでいた。
（えっ、何があったの？　多分、あれが事件の犯人で、勉強嫌いだったのにどうして？）
　羽生の頭上に無数の『？』が浮かんでは消えてゆく。
　仕方がないので、羽生は今の気持ちを渾身のツッコミで表現した。

「家　庭　教　師　の　ヤ　ガ　ミ　か　よ　！」

　奇しくも、八神は去年の同じ事を行っていたのだった。

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