【中間テスト】モヒカン悪魔はテストが嫌いなようです。｜リアクション

【中間テスト】モヒカン悪魔はテストが嫌いなようです。

◆タイムリープ７日目（解決編）

　どうしてこうなったのか、説明をしなければなるまい。
　ジェロニモを発見したのは、水上だった。
　彼女はタイムリープで繰り返される人々の行動を観察。
　リープする『前日』と『今日』で、食い違う出来事や発言をつぶさに集積していた。
　だが実際は真逆！
　目的があるのならば、必ず『毎日』通う場所があるはず！
「そこがこの購買室！　ジェロニモ、そこにいるんでしょ？　観念しなさい！」
　昼休みの最中、人気の焼きそばパンを買い求める寝子高生に紛れ、モヒカン頭のジェロニモが思わず振り返る！
「やっべ！　見付かっちまった、ケケケケ！」
　何故か寝子高男子制服を着崩して着用しており、見かけは完全に一昔前の不良そのものだ。
　若干浮いてはいるが、個性の強い寝子高生の中では意外と溶け込んでしまっていた。
「待ちなさい！　……迂闊だったわ、まさか寝子高生に扮していたなんて！」
　すぐさま龍目に連絡する水上。
　連絡を受けた龍目は図書室へジェロニモを追い込むように彼女へ提案する。
『俺が先回りして道を塞ぐから、水上は図書室へ追い込んでくれ！』
「わかりました！」
　スマートフォンからの龍目の声を即座に判断すると、水上はジェロニモを追い掛け始めた。

「ケケケケ！　やっぱり人間界のフリョーは楽しいぜ！　あとはマンガの通り、誰かとケンカ勝負できればサイコーなんだがなー？」
「ここまでだぜ、ジェロニモ！」
　龍目が廊下の角から飛び出してきた！
「喧嘩がしたい？　それにその服装、お前、不良に憧れてこんな事をしたのか？」
　彼の問いに、ジェロニモが「だったらなんだ？」とガンを飛ばす。
「テストを真面目に受けるフリョーなんてダッセーじゃねーか！　魔界は退屈でさ、時折、人間界から拾ってくるオモチャや漫画を俺は読んでいたんだ。そしたら、人間界のフリョーってチョーカッケーじゃねーか！　勉強もしなくていいし、男らしいし、女にモテモテ！　だから！　寝子高生はみんな、フリョーになっちまえば、俺とダチになれるって寸法だ、ケケケケ！」
「……うわぁ、想像していたよりもショボい理由だったな」
　龍目は思わず苦笑いを浮かべてしまう。
　だがジェロニモは真剣（マジ）だった。
「テメー、なに笑ってんだコラァ！　チョーシ乗ってっと一発いてまうぞオラァン！」
「うるせえ、時間を元に戻せ。ループはもうたくさんだ」
　龍目はじりじりとジェロニモとの距離を詰めてゆく。
　同時に、図書室方面へ追い込まんと、他への退路を断つように立ち回る。
「お前のくだらない理由で、俺達はテストが受けられない。このままだと夏休みも迎えられないんだぜ！？」
「な、夏休みが……！？　フリョーは夏で美女とウハウハって漫画にあった！　それができない！？　いや、でも勉強なんてやっぱりダセーし！」
「ジェロニモ、勉強は確かにつらいがな、山登りだって、つらいことを乗り越えるから景色や弁当に感動できるんだぜ。やる前から結果を決めつけることはねえよ！」
「じゃあ、どうすりゃいいんだよ！？」
　ジェロニモが逆切れしかけたその背後から、水上が迫る！
「やべえ！　逃げろ！！」
　まんまとジェロニモが図書室へ逃げ込んでゆく。
　これで袋のネズミ、いや袋の悪魔！
　だが、２人は知らなかった。
　図書室にいる八神こそが、真のラスボスだったことを！！

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