【中間テスト】モヒカン悪魔はテストが嫌いなようです。｜リアクション

【中間テスト】モヒカン悪魔はテストが嫌いなようです。

◆タイムリープ１日目

　スマートフォンのアラームがけたたましく鳴り響く。
　羽生碧南、起床。
　ああ、今日は中間テストだ。
　この日の為に、大好きな乙女ゲーを封印して試験勉強に取り組んでいた。
　尊さを犠牲に、己の成績を優先した結果だ。
「やっとこの日が来た……。一週間、一応、これで大丈夫と言えるくらいには試験勉強したし、あとは実力を発揮して乙女ゲームを……」
　だが、その前に、鳴りやまぬアラームを止めなくては。
　寝ぼけ眼でスマートフォンに手を伸ばし、アラームを止める。
　液晶画面に目を落とした彼女は、拭いようのない違和感に襲われる。
「……えっ！？　今日って、テスト前日！？　ちょっと、どうなってんの？」
　おかしい。
　昨晩は精魂尽きる前に、眠くなったので今日に備えて寝たはずだ。
　これは、まだ夢の中？
「もしかして、また不思議な事に巻き込まれた……？」
　羽生はこれまでにも、『ひと』の身でありながら神魂事件に巻き込まれている。
　しかも、結構な頻度で。
　
　あれ？　この子、もしかしなくとも巻き込まれ体質なのでは？
「うーん、こういう時って、どこかで事件解決に向けて、動いている人がいるだろうけど」
　彼女は過去の経験から、こういった神魂事件を解決しようと奮起する『もれいび』たちの存在を、直感的に理解していた。
「まぁ、私はあの人たちみたいな超能力はない『一般人』だし、事件解決はできないだろうけど……」
　ひとまず、ベッドから這い出て、腕を組む。
「さて、自分は何をしたらいいだろう？」

　龍目豪は、いち早くこの異常事態に気が付いた。
　彼は何としてもこのタイムリープを解消すべく、行動を起こしていた。
「俺だってテストは嫌だが、ずっとこのままってわけにはいかないだろ。そりゃテストがなければ楽だが、テストが終わらなきゃ夏休みだって来ない。つまり、夏を楽しめないって事だろ？」
　折角、３年になって初めての中間テストを頑張るぜ、と気合が入っていたのに水を差された気分だ。
「俺の他にも、夏休みを楽しみにしている後輩が大勢いるんだ。後輩たちの為にも、時間を進めて中間試験を受けさせてもらうぜ！」
　早速、龍目はＳＮＳアプリ『ねこったー』を起動。
　なんと『ねこったー』までも当然、前日のタイムラインに戻っている。
　龍目はしばしそれを目視したのち、情報を拡散すべくメッセージを投稿した。

『寝子高内でモヒカン頭の見るからに悪魔って奴を探している。名前はジェロニモだ。見付けたら、俺のところまでメッセージ、若しくは拡散よろしく頼むぜ！』

「奴は『目的があって寝子高の何処かに隠れている』と言ってたな。ゲーセンや遊園地かと思ったが、寝子高内なら手分けすれば必ず捕まえられるはずだ」
　かくして、寝子高での悪魔捜査網が敷かれる。
　恐ろしい事に、このループに気付いたのは、羽生、龍目を含めてたった４名。
　この世界でたった４人しか気付かないという異変を起こしたジェロニモは、実際ヤバイ級デーモンであったのだろう。
　ん？　気付かれている時点でサンシタデーモンなのでは、という疑問を持ったアナタ！
　それは言わないお約束です、いいね？

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