【中間テスト】息抜きは用法用量を守って｜リアクション

【中間テスト】息抜きは用法用量を守って

◆自学自習で頑張るぞ

「普段からちゃんと勉強していれば、試験もラクラク、なんて言われたりしますが」

　椿美咲紀は机の上に広げた勉強道具の中からシャープペンシルを取り出して、くるりと回す。唇から零れるのは、試験勉強に向けた彼女なりの考え方。

「テストには、テスト向きの勉強方法ってものがあるのです」

　そう言いながら、美咲紀はノートにシャーペンを走らせる。ノートの隣に置かれているのは、過去のテスト問題。これまでに培ってきたコネをフル活用してかき集めたものだ。タイマーでしっかりと時間を測り、テスト本番に近い状態で解いていく。

「出題傾向と言いましょうか」

　その途中、不安と戦いながら勘で答えを決めた問題の問題番号に丸をして、印をつけた。後で見直すためである。

「こういう出題ではこんな部分が問われている、という出題の意図が素早く汲めなくては」

　美咲紀はすいすいとペンを進めて、簡単な問題を埋めた。

「時間を有効に使えないじゃないですか！」

　次に取り組んだのは、見るからに時間のかかりそうな長文問題だ。つらつらと書かれている文章を飛ばして、美咲紀は問題文に目を通す。

「長文問題、先に問われている内容を頭に入れてから読むべきなのです」

　問いの主旨をつかむと、長文のページに戻りそれらしい箇所に線をひいた。最後までさっと斜め読みして、今度は線をひいた部分と問題文を照合する。

「注意するべき点は先に絞り込まなくては」

　満遍なく解いて、見直しを終えた頃――タイマーの音が鳴った。美咲紀はタイマーを止めて、スマートフォンの画面を変える。

「――ですよね、シュー君」
『そうだな』

　電話の先にいたのは友人で、美咲紀は微笑んだ。取り込み中なのか、彼は一言二言雑談すると切ってしまう。美咲紀は彼の頑張りを思い浮かべて、ぐっとこぶしを握った。

「私も、頑張るのです」

　そう呟くと、美咲紀はペンケースから赤のボールペンを取り出して、答え合わせする。印をつけた問題を見て、迷った解答の解説部分を確認した。理由を考えて、ポイントを押さえると他の問題集や教科書でその差分を把握し、差別化をする。残念なことに、不正解となってしまった問題は正解を暗記しながら、基本を押さえて理解しようと試みた。これで１ルーチン。別の科目も、同じように解くつもりである。一通り解き終えると、また最初から解いて正答率を上げる、そういう計画だ。気が散りそうになってきたので、美咲紀は珈琲とお菓子を摂取する。

「集中！」

　糖分補給を終えると、美咲紀は再び問題にとりかかった。