【中間テスト】息抜きは用法用量を守って｜リアクション

【中間テスト】息抜きは用法用量を守って

「遊びましょう」

　遊琳の用意したお茶とお菓子を楽しんで、休憩を終えると、四人は勉強しながらしりとりをしたり、それで止まった勉強を再開したりと、そうやって過ごしていたが、七瀬が世界地図パズルを発見してこう言ってから、空気が変わった。

「ああそうだ。出しっ放しにしてた」

　まず遊琳が席を立つ。次に征一郎が、

「おい、試験勉強はどうした」

　と言って眉を顰める。シグレは遊琳の隣にひょいと猫のように並び立って、

「息抜きも必要だろ？　これなら遊びながら勉強できそうだ」

　とパズルの一部を手に取った。遊琳もパズルの絵柄を眺めながら、早くも遊びだした七瀬を微笑ましく見守る。

「なるほど。それじゃあ、シグレに少し色々世界史を聞こうかな」

　ああそれと、と遊琳は棚からオセロの入った箱を取り出した。

「オセロもあるよ。勉強とは少し違う頭の使い方をするのもいいよね」

　もうすっかり遊びモードになっていることに、征一郎は複雑そうな面持ちである。七瀬と遊琳はシグレから今回の範囲に入っている場所の歴史を聞きながら、パズルを解いていった。征一郎はそれを横目で見ながら自分の勉強を進めていたが、シグレが征一郎の方へ振り向いて不敵な笑みで言う。

「どうした、やらないのか？」

　征一郎は少し考えて、考えて、どうにもその笑みに対抗心を燃やしたのか席を立った。

「……やるからには手抜かねぇ」
「そうこなくちゃな」

　そうして征一郎もその輪の中に入っていく。そんなこんなで盛り上がる中、遊琳はふと、こう考えた。

　――ところで夕飯どうするんだろう。

　ちらりと時計を見ると、夕飯時も近くなってきている。続いて窓に視線を移すと、外はすっかり暗くなっていて、空には星が瞬いていた。遊琳はまだまだ続きそうな息抜きと、広げたままのノートを見る。

　――僕が皆の分も作ろうかな？

　たしか冷蔵庫の中には、と、献立を考えながら微笑むと、遊琳はオセロ盤に視線を戻して、手もとの黒を白に変えた。

このページにイラストを設定する

あとがき

担当マスター：六原紀伊
ファンレターはマスターページから！

ご参加ありがとうございました。六原です。
ガイド、およびマスターコメントで皆様を混乱させてしまい、大変申し訳ございませんでした。
追記・修正の対応をしてくださった運営部の皆様に感謝申し上げます。

テスト勉強をテーマにしたフリーシナリオということで、精一杯書かせていただきました。
ご期待に沿うものとなっていたら幸いです。

これからのシナリオリリース予定ですが、しばらくお休みを頂こうと思います。
たいへん申し訳ございません。またガイドを出したときにご縁がありましたら、その時はよろしくお願いします。

それでは改めまして、皆様本当にありがとうございました。

↑ページトップに戻る