【中間テスト】息抜きは用法用量を守って｜リアクション

【中間テスト】息抜きは用法用量を守って

◆ぐだぐだ勉強会

「あら、もう中間テストの時期ですのね」

　上下左右は配られたプリントに目を通して、ぽつりと呟いた。教室から出て行く生徒の波に揉まれながら、左右は廊下を歩く。そうしながら勉強の計画を立てようとして、うーん、左右は唸った。

「ざっと復習でもしましょうか」

　ざっくりと方針を決めると、彼女の灰色の瞳に野々ののこの背中が映る。左右はゆらゆらと前進するその背中に手を挙げた。

「ののの先輩―、一緒にどうです？」

　左右の声に、ののこは振り返る。最初は何のことだと思ったののこも、なんとなく試験勉強かな？　と考えてうーん、と唸った。

「どうしようかなぁ」
「私、お茶とお菓子を用意しますわね」
「えっ！　じゃあ行く！」

　お菓子で釣りつつも、そんなこんなで、２人はガラガラの2年6組に入って、机を並べる。勉強道具を広げながら、そういえば、と左右はシャープペンシルを唇に当てて首を傾げた。

「中間テストの範囲ってどのあたりでしたっけ？」
「どこだっけ？」

　ののこも揃って首を傾げる。暫し２人で考え込むが、音を上げたののこが先に鞄を漁り出した。

「ちょっと待って、プリント探すね」
「待ちますわ」

　ごちゃごちゃとした鞄の中を、ののこの手が探る。その奥の方から、くしゃくしゃになったプリントが出てきた。

「あった！」
「かなりありますわね……」

　机に広げられたそれを見て、左右はぼんやりとそう言った。

「はー、だるいなぁ」
「だるいですわねぇ」

　始めたものの、んぅ、と左右は唸って伸びをする。

「なんだかやる気が起きませんわね」
「そうだねぇ……」

　ののこもそれに同意しながら伸びをした。左右は手もとのパッキーをぼりぼりと食みながら、まったく進まない問題に指を立てる。

「こうなったら１問解いたらお菓子を食べて良いってルールに変更ですわ！」
「そうしよう！」
「というわけでののの先輩、パッキーをどうぞ」
「やったー！」

　差し出されたパッキーの箱から、ののこは１本抜き出した。そうしてまた２人は問題を1問解いてはパッキーを１本、解いては1本と食べ進め解き進める。そうしていると、あっ。ののこが残念そうな声を上げた。

「もう無くなっちゃった」
「買いに行きますわ。ののの先輩、リクエストあります？」

　ののこは左右の申し出に喜びながら、食べたいお菓子を挙げる。戻ってきた左右の手には、それらが入ったレジ袋があった。

「なんか、思ったより進まなかったね」
「仕方がないですわぁ」

　外はすっかり暗くなっているが、問題集のページは思いのほか捲られていない。ののこも左右もどこか残念そうに、欠伸をしながら席を立つ。あとのことは、神頼みだ。左右はそう思いながら、鞄を手に取った。

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